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CBRE調べ

首都圏の賃貸物流施設市場、1-3月の新規需要過去最高

2014年4月23日 (水)

調査・データシービーアールイー(CBRE)は23日、首都圏と近畿圏の1-3月期の大型マルチテナント型物流施設の市場動向を発表した。

首都圏大型マルチテナント型物流施設市場は、新たに5棟が稼働。供給面積は10.8万坪と3四半期続けて高水準の供給となったが、1-3月期の空室率は同社の予想を下回り、前期比でわずか0.5ポイントの上昇にとどまった。この動きについて、同社は「依然として首都圏の需給バランスはタイトであることを示している」と説明。

新規稼働した物件では、内陸部と湾岸部のいずれでも竣工前の早い段階でテナントが決定した物件が多く、13年後半に竣工した大型の新築物件でも空室が着実に埋まりつつある。結果として1-3月期の新規需要は9.6万坪と、四半期の集計値では過去最高となった。

テナントの業種では、食品・スーパーなど日配食品やドラッグストアなどの日用雑貨を荷主とするサード・パーティ・ロジスティクス(3PL)、それらの卸売業、アパレルが活発に動いている。中でもアパレルはネット通販向けの配送センターを増強する動きがみられた。

賃料面では、新規契約時の実質的な成約賃料でも上昇圧力が強まっており、「13年からの累計で30万坪を超える大量供給があったにもかかわらず、空室率が低水準を維持している」と指摘、オーナーサイドに安心感が広がっていることを要因の一つに挙げた。

実際に、3PL会社のターゲットとなる坪3000円台の賃料水準エリアでは、まとまった面積を借りられる既存物件がほとんどないため、特に埼玉、千葉県の一部で新規供給物件の成約賃料が高止まり。厚木・相模原エリアでも、供給量の多かった13年は成約賃料がやや低下したものの、順調な空室消化に伴って12年末の賃料水準に回復しつある。

今後もコンスタントに供給が続くものの、向こう1年間の供給予定面積は14万坪で、過去1年間の供給面積34万坪と比べると半分以下にとどまる。14年末までに竣工する4棟のうち、およそ半分の面積でにテナントが内定しているなど、首都圏全体では需給の引き締まった状態が続く見込み。

年内に着工する物件では建築コスト上昇の影響を受けるものも多く、同社では「需給がタイトなエリアや賃料水準がもともと低いエリアを中心に、賃料の上昇傾向が表れてくると考えられる」と指摘している。

ただ、需要の大半を占める3PL会社の賃料負担力が上がるかどうかが不透明で、圏央道周辺で供給が増えることが予想されるなど、賃料を抑制する要因もある。

首都圏以外の都市でも、近畿圏・中部圏や広島、福岡でテナントの需要が旺盛となっており、消費財に加えて製造業、特に自動車部品を扱う物流会社の需要拡大や消費税増税前の需要もあって、中小型を含めた賃貸倉庫の不足がひっ迫した状況にある。

既存の空室が存在しないために日配食品通販・アパレルなどで潜在化している需要も多く、近畿圏と福岡県などで建設中の大型物件では、好調な市況と建築費の高騰を背景に賃料が押し上げられる傾向にあり、テナントサイドもある程度は受け入れざるを得ない状況になりつつあるという。

■首都圏のマルチテナント型物流施設動向(CBRE作成)
首都圏の賃貸物流施設市場、1-3月の新規需要過去最高