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食品産業センター調べ

センターフィー、製造者の負担感「依然として強い」

2014年6月12日 (木)

調査・データ食品産業センターは11日、大規模小売業による優越的地位の濫用問題を中心とした実態調査報告書を公開した。

協賛金、センターフィー、従業員派遣に加え、円安、消費者の低価格志向などによって「原料高の製品安」が懸念される状況の下で、不当な値引き・特売商品などの買いたたきなどが行われていないかなど「過度の情報開示の要求」や、消費者の低価格志向などに伴って増加するプライベート・ブランド(PB)商品に関する要請などの実態把握を行った。

また、施行から8年余りを経た「大規模小売業告示」と運用基準の改善要望項目を設け、10年1月から施行された「改正独占禁止法」における優越的地位の濫用行為の罰則強化の認知度も調べた。

調査結果によると、大規模小売業者は依然として製造者に不当な協賛金を要請しており、製造者が得る利益に見合わない協賛金を支払わされている事例が多い実態がうかがわれた。

協賛金は「納入業者との協力により販売促進を図る」などの目的があることから、同センターは「一概に不当とは言えないが、要求された協賛金の種類や販売促進効果に対する回答結果を見ると大規模小売業告示の運用基準、優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方に例示されているような不当なものも相当程度あるとみられる」と指摘した。

センターフィーについては、「コスト削減分を上回る負担」との回答が製造者の過半を占めるなど、製造者のセンターフィーの負担感が依然として強いことが分かった。この結果に対し、同センターは「背景には、納得できる算出基準や根拠が示されていないことに対する不信感が大きく影響していると考えられる」と分析した。

大規模小売業告示では「納入業者が得る利益などを勘案して合理的であると認められる範囲を超えるセンターフィー要請」を禁止行為としているが、妥当なセンターフィー負担額はそれぞれの物流センターがもつ機能や個々の商品・納入業者の状況などによって大きく異なる、とされている。

■センターフィーに関する実態調査結果
センターフィー要請の有無について、百貨店などでは「センターフィーを負担している」との回答が多数で、食品スーパー(68.4%)、大型総合スーパー(65.7%)、ディスカウントストア(56.7%)、ドラッグストア(52.1%)、コンビニエンスストア(51.2%)、生協(51.2%)――で50%を超える結果となった。

前回調査と比べ、全体では「センターフィーを負担している」との回答が1.9ポイント増加。小売業態別に見ると、ディスカウントストアが2.3ポイント減、ドラッグストア2.4ポイント減となったものの、これら以外のすべての業態で増加しており、特に、「その他の小売業」では9.6ポイント増と大幅に増えた。

また、「物流センターは利用していない」との回答は、08年度以降の5年間、ほぼ増加傾向にあったが、今回の調査では前回調査より1.8ポイント減少した。

センターフィーの要請に対しては、「すべて応じざるを得ない」と「ほとんど応じている」を合わせ、大型総合スーパー(69.9%)、食品スーパー(67.1%)、生協(65.7%)、コンビニエンスストア(63%)、その他の小売業(61.2%)、百貨店(60.7%)――が60%を超え、全体では63.6%となった。

前回に比べ、全体では12.3ポイント減と大幅に減少。業態別でもすべての業態で減少しており、特にコンビニエンスストア(18.8ポイント減)、その他の小売業(17.1ポイント減)、ドラッグストア(14.9ポイント減)、食品スーパー(13ポイント減)、ディスカウントストア(13ポイント減)――で大幅に減少した。

協賛金の要請への対応と比較すると、センターフィーの要請への対応の方がすべての業態で高く、同センターは「物流センターを使用するという明確な実態があるため、ゼロ回答しにくいと考える企業が多い」とみている。

■「2013年度食品産業での取引慣行の実態調査報告書」全文(2MB)
http://www.shokusan.or.jp/sys/upload/709pdf2.pdf