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マレーシア高裁、宇徳に賠償求めた訴訟を棄却

2014年6月13日 (金)

国際宇徳は13日、マレーシアでホット・カン社に対する宇徳の清算済み子会社の損害賠償債務4200万米ドルを宇徳に負うよう求めた裁判で、クアラルンプール高等裁判所が10日付でホット・カン社の訴えを退けたと発表した。

ホット・カン社は、宇徳の清算済み子会社「宇徳エンジニアリング・マレーシア社」に出された、ホット・カン社に対する損害賠償判決と同一の義務を宇徳本体に履行するよう求めていた。

一方、宇徳はホット・カン社から受け取った召喚状など一式書類の送達方法がマレーシア法、日本法の定める「司法共助の方式に則っていない」など、適法な送達形式となっていないとして、送達の無効と「訴訟係属が生じていない」ことを主張。10日にクアラルンプール高裁が宇徳側の主張を認めたもの。

もともとは、宇徳エンジニアリング・マレーシア社が2004年にホット・カン社から機械設置請負業務を受注し、05年3月に業務を完了したにもかかわらず、代金が支払われなかったため、宇徳エンジニアリング・マレーシア社がクアラルンプール高裁でホット・カン社に対して支払を求める訴訟を起こしたことに始まる。

宇徳によると、05年8月4日、同裁判所からホット・カン社に対して代金支払を命じる判決が下ったが、ホット・カン社は宇徳エンジニアリング・マレーシア社の債務不履行を理由として支払請求の差止請求を行い、同裁判所は06年1月26日にホット・カン社の請求を棄却。

しかし、その後も支払われなかったため、宇徳エンジニアリング・マレーシア社はホット・カン社に工事代金未払金回収のための清算手続申立てを行い、棄却された。これに対し、ホット・カン社は「宇徳エンジニアリング・マレーシア社が清算手続を申し立てたことで営業妨害を受けた」とし、08年12月23日に同高裁で7700万米ドルの損害賠償請求訴訟を提起。

一方、宇徳エンジニアリング・マレーシア社は「長年赤字経営が継続しておりコスト削減などの経営改善策も功を奏さなかった」ため、会社清算に踏み切ることをを10年6月30日に決定した。

ただ、早期に清算手続きを完了させるためには、清算手続きの中でホット・カン社に対する債権債務の有無を確定させる必要があったため、清算手続中を理由に訴訟に出席しなかったところ、同高裁は12年1月4日、宇徳エンジニアリング・マレーシア社に対し、ホット・カン社に損害賠償など総額4200万米ドルの支払を命じる判決を下し、ホット・カン社に対する債務が確定した。

その後、宇徳エンジニアリング・マレーシア社の会社清算手続きの過程で清算人がホット・カン社に清算通知などを行ったが、ホット・カン社から債権の届出がされないまま清算手続きが結了したことから、宇徳は「宇徳エンジニアリング・マレーシア社の支払債務がマレーシア法上も適法に消滅した」としている。

これらの経緯の後、ことし2月12日になってクアラルンプール高裁からの召喚状がホット・カン社の代理人弁護士を経由して宇徳に届き、ホット・カン社は「法人格否認の法理」に基づいて宇徳エンジニアリング・マレーシア社が負う損害賠償債務と「同一の義務の履行」を求めたが、宇徳は「適法な送達形式となっていない」として、送達の無効と訴訟係属が生じていないことを主張。これを同高裁が認め、ホット・カン社の訴えを退けた。