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日通総研、震災初動期の物流体制整備を提言

2011年4月12日 (火)

話題日通総合研究所は12日、東日本大震災の発生後、被災地被災地で生じた物流上の課題や震災時の物流のあり方を提言するレポート「震災ロジスティクス」を発行した。

 

レポートの中で、日通総研は「被災地まで物資が届かない」「物資の偏在が生じている」といった問題が発生しているとして、大規模・広域地震災害に対応した物流の初動期における緊急の救援物資輸送のあり方を提言している。

 

東日本大震災では、初動期の緊急救援物資の供給に時間を要したとして、被災自治体からの要請が通信の途絶などによって上がってこなかったことによる面が大きい、と指摘。この経験から、大規模で広域にわたる通信途絶を伴う震災では「被災地現地からの要請が顕在化する前に、緊急救援物資の需要を予見し、供給できるシステムを国の災害対策として構築しておくことが望ましい」と提案した。

 

具体的には、衛星写真や空中撮影から被災地の範囲を把握し、地理情報システム(GIS)や国土数値情報から被災規模・時刻などを考慮した上で、性別・年齢別などの被災人口を予測し、気象・天候を勘案した「被災者が求める物資」の需要量を大まかに予見する仕組みを示している。

 

こうした仕組みの実現可能性については、「GISは我が国の各種データベースを基にすれば、現在の技術でもすぐに整備が可能で、既に商圏分析やマーケティングなどの分野でソフトウェアとして商品化されている」ことを踏まえ、災害時の写真データを照合させることで大まかな需要量の予見は可能、と指摘した。

 

需要予見が可能になれば、救援物資を備蓄している被災地以外の自治体・企業にピッキングリストを送付し、出荷を要請することで、「たとえ市町村の通信が途絶えていても早期の物資供給体制を動かし始めることができる」と効果の大きさを強調した。

 

日通総研では、次回レポートで復旧・復興に向けた物流のロードマップについての提言を行うとしている。

 

■レポートの詳細は下記URLを参照。
http://www.nittsu-soken.co.jp/report/logistics/file/logi_r15.pdf