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情報通信審議会郵政政策部会がユニバーサルサービス確保策で答申案

集配郵便役務、黒字局2割で赤字局8割をカバー

2015年8月27日 (木)

ロジスティクス情報通信審議会郵政政策部会は26日、「郵政事業のユニバーサルサービス確保と郵便・信書便市場の活性化方策の在り方」に関する答申案を総務省に提出した。

答申案では、郵政事業(郵便役務と銀行・金融窓口業務)のユニバーサルサービスを確保するためのコストを試算。このうち郵便役務は収入が1兆2457億円、費用が1兆2271億円で、収支としては186億円の黒字。これに対する郵便役務に関連するユニバーサルサービスコストは1873億円という結果となった。

しかし、集配郵便局エリアごとの試算では、1087の集配郵便局エリアのうち8割にあたる873局が赤字で、赤字合計額は1873億円に上った。大都市部を中心とする2割(214局)の利益2059億円で赤字を賄っている状態にあることがわかった。

答申案では「郵便役務は、大都市部の集配郵便局エリアでは引受郵便物も多く、配達も住宅が密集し効率的な配達ができるため、配達コストも抑えられることから黒字となっている傾向がある」と大都市部で黒字傾向となる背景を分析。地方の集配郵便局エリアについては「引受郵便物も少なく、配達も一軒一軒の配達先が遠く、配達コストが高くなるため、収支が赤字となる傾向にある」とした。

こうした結果を受け、ユニバーサルサービスを確保するための方向性として、日本郵政と日本郵便に対し、「郵便のユニバーサルサービスの中で特にコストの要する配達作業については、さらに、配達順路や郵便局配置の最適化などコスト抑制の努力を期待する」との意見があったとした上で、さらなる経営効率化を求めたほか、郵便局ネットワークを活用した収益の拡大に取り組むことが必要と指摘した。

国に対しては、不在再配達によって利用者利便を損なうとともに、再配達にかかるコストが発生しているとして、「大型郵便受箱の規格」見直しに向けた検討を行うよう求めた。また、集配拠点の再編に伴う施設整備が円滑に行われるよう、日本郵便の具体的なニーズや実情などを踏まえて「必要な検討を行うことが適当」だと提言した。

総務省では28日から9月11日まで、答申案に対する意見募集を行う。