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宅配の再配達削減、利便性向上と利用者理解カギ

2015年9月3日 (木)

ロジスティクス宅配便の配達では、走行距離ベースで見ると25%が再配達に費やされ、不在率(訪問回数ベース)は19.1%と、およそ5回に1回が「空振り」となっている。

この「ロス」が環境に与える影響も大きく、再配達のために年間で41万8271トンのCO2が発生し、スギの木に換算すると1億7400万本分の吸収量にあたる。さらに、労働生産性への影響も小さくない。再配達に費やされる労働時間は年間1.8億時間で、9万人分の労働力に相当するなど、環境面、労働面で大きな社会的損失が発生していると考えられる。

こうした再配達を減らすため、国土交通省では受取方法の多様化を促進すべきとの考えのもと、検討会を設置して効果的な方策を模索している。

国交省が8月25日に開催した第2回検討会では、「顧客が欲しいときに欲しい場所でどう提供できるか、がキーとなる」「消費者へのインセンティブも大切で、関係者間の連携は必須。顧客にとってのストレスフリーを目指すことが重要」など、事業者側の改善努力やインセンティブ導入の効果を指摘する意見が出されたほか、利用者側の理解が必要とする声もあった。

その際に国交省が示した消費者アンケートの結果をみると、再配達となった理由として最も多かったのは、「配達が来るのを知らなかった」で、40.9%を占めた。

では、どのような方法であれば1回で確実に受け取ることができるのか。

有人を前提とした場合、68.3%が「自宅近くのコンビニのレジ」と回答、次いで多かったのは、「勤務地のコンビニのレジ」で、コンビニエンスストアでなら1回で受け取ることができると考えている消費者が多かった。無人の場合は「自宅付近のコンビニに設置されたロッカー」が56.6%で最多、「自宅付近の駅に設置されたロッカー」が28.8%で続いた。

有人・無人で共通するのは「コンビニ」だったが、検討会では「大都市だけではなく、過疎地への目配りも何らかの対応が必要ではないか」と、都市生活者に偏った議論となることに疑問を呈する声も上がった。

国交省では今後、消費者ニーズを踏まえた利便性向上策の検討を進め、「回避可能な再配達の最小限化」に向け、宅配事業者らの取り組みを増進させながら、必要に応じて事業者間の連携を促す方針。