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国交省が報告書、海コン車両の米油漏洩し21人重軽傷

2015年11月11日 (水)

行政・団体国土交通省は11日、堺市から和歌山県にかけて昨年8月に海上コンテナトレーラから米油が漏洩し、この影響で21人が重軽傷を負った重要調査対象事故の報告書を公表した。

この事故は14年8月23日3時30分頃、米油2万2800リットルを国際海上コンテナに積載していたトレーラが堺市付近を走行中、コンテナ内のフレキシタンクから米油が漏洩して発生したもので、堺市から和歌山県かつらぎ町までの間、米油7000リットルが道路上に漏洩した。

道路に漏洩した米油の影響と見られるほかの車両の交通事故が大阪府から和歌山県にかけて発生、7人が重傷を負い、14人が軽傷を負ったことから、自動車事故調が重要調査対象事故として原因分析を行い、再発防止策をまとめた。

報告書によると、トレーラの運転者は漏洩開始地点から24.5キロ(47分間)走行した後、同僚の運転者から「米油が道路に漏洩している」との連絡を受けたが、さらに4.1キロ(24分間)走行した後で信号停止した際、初めて米油の漏洩状況を確認したという。

この時点で、運転者は米油の漏洩状況を同僚運転者に伝えたが、事業者(所属する会社)に対しては連絡せず、漏洩させた状態で目的地まで13.6キロ(16分間)走行を続けていた。これにより、漏洩開始地点から目的地まで42キロ、90分間にわたり、7000リットルもの米油が大量に漏洩することとなった。

自動車事故調では「この運転者は、同僚運転者から連絡を受けた後も直ちにこの車両を停止させず、運行管理者に事態を報告し、指示を仰ぐなど適切に対応しなかったことが、漏洩事故による被害の拡大につながった可能性が考えられる」と運行状況を分析している。

漏洩した原因については「運転者が急ブレーキをかけた際にフレキシタンク内の米油が前方に移動してフレキシタンク上面に大きな力がかかったことにより、フレキシタンク上面の一部が損傷した可能性が考えられる」と推定。

さらに、所属会社に対しても「運転者に点呼を確実に実施していなかった」「適切な運行指示がなされていなかった」「運転者に対して漏洩事故が起きた際の対処方法についての指導が不十分だった」と指摘し、「漏洩事故の影響によると見られる被害の拡大につながった」との見方を示した。

また、再発防止策としては、(1)国際海上コンテナの輸送時における運行指示の徹底(2)運転者教育の充実(3)事業者に対するフォローアップ――の必要性を示しつつ、国土交通省とトラック協会に対し、今回の事故事例をほかの事業者に水平展開し、注意を喚起するよう求めた。

このほか、運転者に対しては「走行中に積載物を漏洩させた場合、車両を安全な場所に停止させ、必要に応じて後方の安全確保を行った上で、社内の連絡体制に基づき運行管理者へ報告し指示を仰ぐとともに、警察や道路管理者へ通報するなどの必要な措置を講じる必要がある」と、漏洩させた際の対応を示した。

■事故報告書の詳細
http://www.mlit.go.jp/common/001108894.pdf