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海運業の市場撤退企業数「増加の可能性」、TDB調べ

2015年12月1日 (火)

ロジスティクス帝国データバンクは11月30日、海運会社の経営実態調査結果を発表した。外航海運業は2009年度に総収入高が3兆1198億6900万円(前年度比32.3%減)までダウンしたものの、14年度には4兆6111億4000万円まで回復した。

ただ今後については、中国経済の成長鈍化に伴う鈍い荷動きと船舶の過剰供給が続くことを理由に、内航と併せて「市場撤退企業数が増加に転じる可能性」を指摘した。

事業者数は、「貨物海運業者」が661社で内訳は外航貨物海運業者77社、内航貨物海運業者584社。船舶貸渡業者は614社で外航海運向け197社、内航海運向け417社となった。

都道府県別の分布は、外航貨物海運業者が東京都(47社)に最も多い。外航貨物海運では大型船での輸送が中心となるため、大企業の集まる東京都に集中している様子がうかがえた。

一方、内航貨物海運業者は広島県(71社)に拠点を置く業者が最も多く、このほか兵庫県(62社)、大阪府(38社)、福岡県(34社)など、港湾を抱える地域に拠点を置いている。

また、海運流通網が著しく発達した江戸時代頃から海運業が盛んだった、熊本県(57社)や愛媛県(27社)など地方にも点在している傾向がある。

外航船舶貸渡業者は、外航貨物海運業者の集まる東京都(38社)に最も拠点が多かったが、外内航を合わせると、愛媛・今治船主と呼ばれるように愛媛県所在の船舶貸渡業者が152社で最多となった。このほかも瀬戸内海近辺の県が上位を占めた。

収入規模別(14年度業績)の特徴を見ると、年商10億円未満の企業の割合は、外航貨物海運業者が30.3%にとどまった一方、内航貨物海運業者(構成比73.6%)、外航船舶貸渡業者(71.2%)、内航船舶貸渡業者(92.1%)は7割を超え、事業規模の違いが明らかになった。

特に内航船舶貸渡業者は事業規模が小さい傾向にあり、「1億-10億円未満」の構成比が68.8%となっているほか、年商100億円以上の業者はゼロであった。