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トロンフォーラムからucodeタグ認定初取得

富士通、変形可能なバッテリーレスビーコンを試作

2015年12月8日 (火)

サービス・商品富士通、変形可能なバッテリーレスビーコンを試作富士通は7日、量産性を向上させたビーコンの試作機でビーコンとしては初めてucodeタグの認定を取得した、と発表した。これにより、同社のビーコンは国内だけでなく、世界でIDを発信できるようになったことから、「より信頼性の高い位置情報サービスが実現できる」。

従来のビーコンは、電波を発信するための電力として、電池を内蔵して定期的に交換するか、近くにコンセントを設置し、そこから常に電力供給を受ける必要があり、定期メンテナンスや大がかりな設置工事など、運用管理に手間がかかっていた。

また、プラスチックなどのハードカバーで覆われたビーコンが主流のため、景観との調和が求められる場所や、設置したビーコンが落下する危険性に配慮が必要な場所には導入しにくいといった課題があったほか、IDが重複する可能性があり、それぞれ独自のシステム内での使用に限られていた。

同社がこれまでに開発したビーコンでは、電気回路の配線パターンに、導電性のあるペーストを印刷しており、その上に電気部品を実装し、導電性のある接着剤で接合。ペーストと接着剤は、既存の生産設備で量産可能な材料を選定した。

富士通、変形可能なバッテリーレスビーコンを試作現在開発中のビーコンでは、より汎用的な電気部品で量産可能になるよう、回路設計を見直したほか、ペーストや電気部品などの接合での乾燥工程では、温度や時間の最適条件を洗い出し、量産の効率化を図ったことで、製造にかかる時間を短縮、コストも削減した。

認定は、ユビキタス・コンピューティング基盤技術の標準化・推進団体「トロンフォーラム」から、ビーコンとして世界初となるucodeタグの「ucodeカテゴリー2」を取得。これにより、国際基準に準拠したIDが使用できるようになり、駅構内や街中での視覚障害者の誘導支援やスタジアムなどの効率的な座席管理など、信頼性の高い位置情報サービスを提供できるようになる。

従来は建物などの固定物にビーコンを設置していたが、認定を受けたビーコンは変形可能な特性を生かし、服や靴へも貼り付けられるため、同社は「対象としたい人やモノの所在をすばやく把握し、サポートすることが可能になる」としている。

今後は、より生産効率の高い製造プロセスを確立し、早期の製品化を目指すとともに、ビーコンとセンシング技術を組み合わせた新たな位置情報ソリューションの創出を図る。

富士通、変形可能なバッテリーレスビーコンを試作

■坂村健東京大学教授(トロンフォーラム会長YRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長)のコメント
今回、富士通が申請したビーコンをucodeタグとして認定した。IoTの世界ではさまざまな「モノ」や「場所」などを個々に識別する必要があり、ビーコンは識別に有効なデバイスだ。

しかし、現状のビーコンは設置や維持が難しい場合があり、各社の研究開発に期待をしていた。これらを解決する可能性を持ったビーコンが現れたことは、IoT世界の実現に一歩近づくとともに、日本の技術の底力を感じる。このビーコンが実際に稼働し、世界中に広がることを期待している。