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東京都市圏、3割が70年代建設の古い物流施設

2015年12月16日 (水)

調査・データ関東地方整備局と首都圏の自治体などで構成する東京都市圏交通計画協議会は16日、5回目となる東京都市圏物資流動調査の結果を公表した。東京都市圏の物流施設の3割が1970年代に建設された古い施設となっていることや、事業所に出入りする最大積載重量10トン超のトラックの割合が10年間で増加し、大型トラックに対するニーズが高まっていることがわかった。

東京都市圏、3割が70年代建設の古い物流施設

(掲載資料はすべて第5回東京都市圏物資流動調査結果)

調査結果によると、東京都市圏の物流施設は東京湾沿岸の臨海部に最も集積しているが、2000年以降は圏央道沿線などへの物流施設立地の郊外化が進展。地域ごとに異なる特徴を持っており、臨海部は国際物流、外環道沿線とその内側は生活関連品の都市内配送、圏央道と北関東道沿線は機械工業品・日用品・食料品などを扱う大規模施設が多く立地している。

建設年次をみると、東京都市圏の物流施設は3割が1970年代以前に建設された古い施設で、臨海部や東京都北部から埼玉県にかけての外環道周辺の地域などに多く立地。建設年次が古い物流施設ほど、複数機能を備えた物流施設である割合が低く、「近年の動向に対応していない」施設が多い可能性を示唆している。

物資流動の輸送手段は、東京都市圏内の物流の9割強、東京都市圏外との物流の6割弱をトラックが占めていた。事業所に出入りする貨物車の大きさは、最大積載重量10トン超の構成比が10年間で増加しており、大型貨物車に対するニーズが高まっていることを示した。

東京都市圏、3割が70年代建設の古い物流施設
東京都市圏、3割が70年代建設の古い物流施設

大型トラックの輸送経路は、圏内では高速道路や一般国道といった幹線道路を中心に、環状方向や放射方向の道路が多く利用されており、一部の一般都県道や市区町村道などでも走行が確認されていることから、生活環境への影響が懸念される結果となった。

防災面では、圏内で物流を扱う企業の7割弱が東日本大震災の教訓などを踏まえて防災に関する物流の取り組みを実施・検討していると回答。首都直下地震の震度想定は、都市圏の広い範囲で震度6強以上の強い揺れが想定されていることがわかった。

想定最大震度が6強以上の市区町村内に立地している物流施設は東京都市圏全体の5割近くを占めており、首都直下地震の発生で影響を受けると懸念される物資流動量は小さくなく、同地震は物流を通じて都市圏内外の消費・産業活動に影響を及ぼす可能性が示唆されている。

企業ヒアリング調査では、EC市場の拡大に伴い、通販商品を扱う大規模な物流施設の立地や宅配などのトラックによる小口多頻度輸送の必要性が高まっている実態を示した。トラックドライバー不足を背景に、貨物の積替やドライバーの休憩・休息・交代が可能な輸送中継施設の立地や、トラック台数を削減するための車両の大型化、積載効率の向上、モーダルシフトなどが重要とみられている。

また、東日本大震災を踏まえて災害時にも機能する物流システムを構築するため、物流施設の分散立地や内陸移転、代替輸送経路の検討を行う企業が見られた。臨海部などでは、物流施設の老朽化によって物流施設の建替・機能更新の意向も確認された。