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JLL調べ

18年末に空室率10%台後半へ、関西の賃貸物流施設

2016年4月14日 (木)

調査・データジョーンズラングラサール(JLL)は、14日に発表した関西の物流不動産賃貸市場を分析したレポートで、新規供給の少なさから2%強にとどまっている空室率が、2018年までの3年間にこれまでの4倍近い大量供給の影響で18年末には10%台後半に上昇する、との予測を示した。

18年末に空室率10%台後半へ、関西の賃貸物流施設

関西の物流不動産市場は、これまで新規供給が少なくタイトな需給状況が続き、市場形成の面で立ち遅れていた。10年から現在までの6年間のうち半分は「大型先進物流施設」の供給がなく、14、15年と複数の大型物件の開業が続いたものの、竣工後すぐに満室になるなどして、空室率は2%強と低水準にとどまっている。

16–18年の3年間は、国内外のディベロッパーや投資家の参入、大型の開発プロジェクトが相次ぎ、年平均で過去に比べ4倍近い高水準の供給が予想されており、JLLでは、この大量供給で市場形成が進むとみている。

18年末に空室率10%台後半へ、関西の賃貸物流施設また、関西エリアで04-15年の12年間に竣工した高機能な大型物流施設を利用するテナント企業のうち、3PL事業者が占める割合は床面積の60%に達している一方、インターネット通販の比率はわずか5%にとどまっており、首都圏ではネット通販の比率が17%と存在感を示しており、関西市場の5%とは対照的。3PLの荷主企業も消費財メーカー、小売り関係が多く、ネット通販企業の少なさが特徴となっている。

ただ今後は、関西でもネット通販業界が需要のけん引役になるとみられ、ひっ迫した需給を背景に潜在的だった需要が顕在化する可能性も見込まれるなど、需要面でプラスに作用する見込み。

こうした分析を踏まえ、JLLでは、16–20年に新規供給される関西の高機能な大型物流施設のテナント構成について「ネット通販が48%と半分近くに達し、3PLは38%」にとどまると予測。ほかのセクターの成長余地は相対的に低く、新規需要も限られることから、14%にとどまるとした。

関西の賃貸物流施設市場に需要の大きな構造変換が訪れる可能性が高く、20年時点でネット通販が占める比率は26%と、現在の5倍強に達するとみている。

■JLLインダストリアル&リテールスペシャリスト・二瓶博和氏の話
「今後3年間の関西での大型先進物流施設の供給は、歴史的な高水準となる。この大量供給により一時的な影響はあるものの市場形成が急ピッチで進み、賃料も含め堅調な市場が続くと予想している。また、首都圏に追う形で、関西でも成長が続くインターネット通販が存在感を増していき、需要面で強いドライバーになるとみている。今後の関西物流市場は、懸念される市況の長期的な低迷入りの可能性が低いことに加え、大型先進物流施設の市場規模は急拡大し、2020年には消費市場の規模は首都圏と肩を並べる存在となることから、投資も含め、同市場の魅力は大きく増すだろう」