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医薬品卸の体質改善、「物流のあり方」がカギ

2011年11月4日 (金)

話題矢野経済研究所は4日、医薬品流通に関する調査結果を発表、医薬品流通の注目すべき動向として「医薬品卸における物流センターの存在のあり方」の重要性を指摘した。

 

調査では、調剤薬局チェーン、医薬品卸の経営幹部に医薬品流通市場の現状とその将来についてアンケートを実施。結果を踏まえた医薬品流通市場の最新状況、製薬企業と医薬品卸の関係の今後の変化を予測している。

 

同社によると、医薬品流通業界では激しい価格競争を繰り広げてきた医薬品卸各社が、新薬価制度への移行を機に医療機関や薬局などとの納入価交渉のあり方を見直す機会とするはずだったが、これまでのところは体質改善の機会とすることができていない。この結果、各社は厳しい納入価交渉を行うこととなり、当初計画していた利益計画が大幅な修正を余儀なくされた。

 

こうした業界の体質に対し、同社は「医薬品卸各社は早期に納入価交渉のあり方の見直し、安定的に利益確保を図る手段を見出すことができなければ厳しい経営状態から離脱できなくなる」と強く指摘。その上で「医薬品流通市場の改革には、製薬企業の営業のあり方をも変革する必要がある」として、注目すべき動向として「物流センターの存在のあり方」に言及した。

 

同社は、これまで医薬品卸各社は、支店・営業所に在庫を置いて対応することを基本としてきたが、製薬企業が医薬品卸の物流センター機能を評価するようになる前後から、物流センターの見直しを行うようになり、今では、物流センターから得意先への直送が基本になりつつある、と分析。

 

しかし、災害時対応や緊急配送への対応という点で、「物流センターに在庫を集約することが良いのかという議論がある」として、今後「得意先と物流センターの間に中間倉庫機能を設ける動きが強まる」と予測。

 

特に最近では、医薬品卸もオペレーション効果を追求するため、「営業から物流でのポジショニングの確立に向けて動き出している。現状は整備・強化の途上で大きな優位差が生じていないが、可能性は十分に秘めている」として、物流のあり方が医薬品流通の転換点を左右するとの見方を示した。

 

■調査資料「医薬品流通市場の未来図2011年版」の詳細は下記URLを参照。
http://www.yano.co.jp/market_reports/C53108500