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2016年6月期の売上200億円視野

フジホールディングス、静岡運送買収し手薄エリア補強

2016年5月13日 (金)

M&A全国42の拠点と車両1000台で幹線輸送を中心に運送事業を展開する富士運輸(奈良市)の持株会社・フジホールディングス(東京都港区)が、静岡県焼津市の運送会社・静岡運送を買収したことがわかった。

これにより、フジHDグループの車両台数は1100台となり、これまで手薄だった静岡、北関東エリアを補完。2016年6月期の売上も17%近く伸びて200億円の大台に乗せる見通しとなった。

フジHDは1978年創業の運送会社で、松岡弘晃氏が社長に就任した2001年以降、それまでの奈良県内が中心だった区域運送から郵便の長距離輸送や航空貨物輸送など広域幹線輸送を柱とする業態で急拡大し、この10年間で年商が10倍超に成長。さらに拠点網を広げ、労働力不足に対応する経営戦略として中継輸送とその拠点の拡大に取り組んでいる。

一方、静岡運送はウイングトレーラー、平トレーラー、小麦粉輸送用のバルクトラックやユニック車、大型ウィング車など100台程度の車両を保有、焼津市に展開する5000坪の倉庫拠点を活用し、関東・東北と東海をつなぐエリアの貨物輸送を手がけていたが、66歳の前代表に後継者がいないことから、自社の業態とマッチする提携相手を模索。手薄な関東北部と静岡エリアへの拠点開設を検討していたフジHDの松岡社長と出会う。

■富士運輸の拠点(青)と静岡運送の拠点(水色)
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東海・北関東に根差した運送・倉庫事業を展開しながら、後継者問題を抱える静岡運送と、中継輸送拠点の拡大や手薄なエリアの強化を掲げて事業拡大にまい進するフジHDのトップ同士が直接協議すると「すぐに双方のニーズが一致していることがわかった」と松岡氏が話す通り、トントン拍子にM&A協議が進展。

静岡運送側は前代表だけでなく、管理職社員らも経営の先行きに安定感が増すという期待感から「一日も早く一緒になりたい」とフジHDによるM&Aを歓迎し、わずか1か月半程度の協議でフジHDが静岡運送の全株式を取得する形で、5月1日の買収に至った。

「M&Aは難しい。機会があれば検討するが、5回のうち1回成功すればいいほう」という松岡氏だが、今回は「お互いのニーズが驚くほどマッチした。静岡運送にとっても、幹線輸送を全国展開するフジHDグループ入りしたことで、自社の強みを活かしながら帰り荷を確保しやすくなるなど、相互に補完し合える関係だ」と成功を確信する。

フジHDの拠点展開は急ピッチで進んでいる。中核の富士運輸は岩手県から熊本県まで42の拠点を運用しているが、現在も九州、長野、福井などで拠点づくりを急いでおり、7月には京都に新拠点が完成するなど、近く全国50拠点体制を実現する見通しだ。

■フジホールディングス
本社:東京都港区浜松町2-10-6 ⼩林ビル4F
売上高:171億円(2015年6月期)
グループ従業員数:1100人(2016年2月)
グループ車両台数:1000台(2016年1月)

■富士運輸
本社:奈良市北永井町372
売上高:151億円(2015年6月期)
従業員数:1000人(2016年2月)
車両台数:910台(2016年1月)