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4-6月期はさらに悪化

1-3月のトラック運送景況感が12.7P悪化、全ト協調べ

2016年5月16日 (月)

ロジスティクス全日本トラック協会が13日に発表した、1-3月期のトラック運送業界の景況感速報によると、昨年同期に比べ景況感の判断指数は-30.9となって前回の-18.2から12.7ポイント悪化したことがわかった。

宅配貨物では全体的に改善傾向だったが、一般貨物、宅配以外の特積貨物の営業収入・営業利益が悪化した。さらに、燃料単価の下落による荷主からの運賃引き下げがあり、運賃水準も低下した。これらにより経常利益も悪化となった。

4-6月期の判断指数は、海外景気の後退と円高を背景に景気後退懸念が再熱し、今回から9.8ポイント低下の-40.7を見込んでいる。

■一般貨物、営業利益の判断指標11P悪化
一般貨物では、輸送数量を「減少」とする事業者が36.7%、「増加」が18.9%で、判断指標は-23.6となり、前回(-16.5)から7.1ポイント悪化した。営業収入では減少が35.7%、増加が23.5%で、判断指標は-16となり、前回(-10.3)から5.7ポイント低下。営業利益は減少が32.1%、増加が27.6%で判断指標は-8.6となり、前回(-2.4)から11ポイント悪化した。

4-6月期は輸送数量がわずかに悪化し、営業収入・営業利益は悪化の見込み。

■宅配貨物の営業収入41.1P改善
宅配貨物は輸送数量の減少が24.2%、増加が24.2%で、判断指標は-3となり、前回(-29)から26ポイント改善した。営業収入では減少が21.2%、増加が36.4%で、判断指標は12.1となり、前回(-29)から41.1ポイント改善した。営業利益は減少が27.2%、増加が21.2%で、判断指標は-9.1となり、前回(-19.4)から10.3ポイント上昇した。

宅配以外の特積貨物では、輸送数量は減少が41.8%、増加が16.4%で、判断指標は-25.5となり、前回(-30.4)から4.9ポイント改善。営業収入は減少が36.4%、増加が21.8%で、判断指標は-14.5となり、前回(-7.1)から7.4ポイント悪化した。営業利益でも減少が27.3%、増加が23.6%で、判断指標は-5.5となり、前回(-21.4)から26.9ポイント悪化した。

4-6月期は宅配貨物が輸送数量、営業収入、営業利益が悪化の見込み。宅配以外の特積貨物は、輸送数量、営業収入が横ばい、営業利益は悪化の見込み。

■運賃・料金水準、特積貨物が上昇
運賃・料金水準は、一般貨物が-3(前回0.4)と3.4ポイント悪化、宅配貨物は15.2(前回12.9)と2.3ポイント上昇、宅配以外の特積貨物は18.2(前回21.4)から3.2ポイント低下となっている。

4-6月期は、一般貨物がやや低下、宅配貨物・宅配以外の特積貨物は低下の見込み。

■労働力不足感やや緩和
実働率は-17.8(前回-13.4)と4.4ポイント悪化、実車率は-16.2(前回-12.3)となり、3.9ポイント悪化となった。雇用状況(労働力の過不足)は72.2(前回78.8)と6.6ポイント低下し、不足感が弱くなった。

採用状況は-1.6(前回-4)で指標は2.4ポイント増加し、所定外労働時間は-9.4(前回-11.4)と2ポイント増加している。貨物の再委託(下請運送会社への委託割合)は-5.1(前回-3.8)で1.3ポイント減少となった。経常損益は-1.3(前回8.3)となり、指標は9.6ポイント悪化となった。

4-6月期は実働率、実車率がやや悪化、雇用状況は指標をやや水準を上げ、不足感が強まる見込み。採用状況は水準をわずかに下げ、所定外労働時間、貨物の再委託が水準をわずかに低下、経常損益は指標の水準を下げる見込み。

■建設関連の悪化際立つ
事業者の規模別では、大規模事業者が-10.9(前回-11.1)と0.2ポイント改善、中規模事業者は-32.1(前回-13.9)となり、18.2ポイント悪化、小規模事業者は-38.2(前回-26.8)と11.4ポイント低下となっている。

一般貨物の主な取り扱い品目別では、消費関連貨物が-15.6(前回-8.8)と6.8ポイント悪化、建設関連貨物が-55.4(前回-15.5)と39.9ポイント悪化、機械関連貨物が23.9(前回-14.9)と9ポイント低下、「その他貨物」が-37.9(前回26.3)と11.6ポイント低下している。

一般貨物業界の景況感を地域別にみると、四国は水準を上げているが、そのほかの地域は水準を下げている。

4-6月期は規模別で大規模事業者・中規模事業者が悪化、小規模事業者ではやや悪化の見込み。

取り扱い品目別では建設関連貨物は水準をわずかに上げ、消費関連貨物はやや下げ、機械関連貨物・その他貨物は低下する見込み。

地域別では、北海道がやや水準を上げる見込み。

■必要なドライバー数の確保「できていない」68%
全ト協は、トラック運送業界では必要なドライバーを確保できないなど人材不足の状況にあることから、実態をより具体的に把握するため、追加で質問を行った。

この結果必要な人材が確保できていない割合は全体の68%であることがわかった。人材不足による問題として、「繁忙期のみ運航業務に支障が出ている」と答えたのは44.5%、「通年にわたり運行業務に支障が出ている」が25.3%となった。

また、人材不足による運行業務への影響は、「仕事を断ることがある」が42.9%と最も多く、「庸車の依頼を増やすことがある」41.2%、「ドライバーの時間外労働時間を増加させることがある」36.1%と続いた。