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燃料価格低下影響か、JILS調べ

荷主の物流費比率4.63%、97年度以降の最低値更新

2016年5月27日 (金)

財務・人事日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が27日に発表した荷主企業の2015年度(調査対象期間は14年度)の物流コスト調査結果によると、売上高に対する物流コスト比率は全業種平均で4.63%となり、1997年以降で最低を記録した14年度(同13年度)から、さらに0.07ポイント低下した。

物流コスト比率の推移(出所:JILS資料を基にLogisticsTdayが作成)

この結果について、JILSは報告書のなかで「好調な内需や円安を背景として企業収益が総じて改善に向かい、燃料価格も低下傾向で推移した結果、売上高に対する物流コスト比率が低下した」との見方を示した。ただ、2年連続でこの調査に回答した企業に限定した物流コスト比率は4.70%となり、14年度から0.08P上昇している。主要製造業は5.95%で0.04P上昇した。

物流コストの機能別構成比は、輸送費が56.6%とほかの物流機能を大きく上回ったものの、前年度との比較では0.6P減少した。近年、上昇傾向にあった荷役費は15.5%で0.7Pの減少、保管費は16.3%で1.3P増加した。

企業が支払った物流費の支払先(構成比)は、専業者(物流事業者)が71.4%で6年ぶりに減少に転じ、物流子会社への支払いは13.3%と2.5P増加、自家物流費との回答は1.1P増の15.3%となった。

支払った物流費がどの領域のものかを問うた回答の構成比は、販売物流費が73.1%で最も多くを占めたものの、前年度からは2.0P減少。対して社内物流費が20.0%から21.8%へと1.8P増加した。調達物流比は5.1%で0.1P増加したが、04年度までは1割近くを占めていたことを考慮すると、長期的に構成割合は小さくなっている。

日米の物流コスト比較では、日本が全業種平均が4.63%、主要製造業が5.95%となったのに対し、米国(暦年)は9.34%と前年からの増減はなかったものの、高い水準が続いている。

日米のマクロ物流コストは、日本(13年度)が44兆3109億円で名目GDPに占める割合(マクロ物流コスト比率)が0.05P減の9.17%、米国(13年)のマクロ物流コストは1兆3850億ドルとなり、両国ともにリーマンショック前の水準に回復しつつある。

日米のマクロ物流コストは95年(度)から00年(度)まで日本が減少傾向、米国が上昇傾向と逆の動きを示していたが、01年(度)以降は米国のほうが振れ幅が大きいとはいえ、ほぼ同様の増減傾向で推移している。

JILSは6月に報告書を販売するとしている。