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民法の「事務管理」規定適用

愛知県、夏場前にダイコー4拠点で廃棄食品の撤去開始

2016年6月1日 (水)

話題愛知県は1日、廃棄食品の横流しで問題となった廃棄物処理業者のダイコーが同県稲沢市、一宮市で”不適正”に保管している食品廃棄物について、最終的に排出事業者を特定できない食品廃棄物が全体の53%にあたる4765立方メートル残るとの見込みを発表した。

県は同社に廃棄物処理法に基づく改善命令を出し、排出事業者にも回収を指導してきたが、半分以上の排出事業者を特定できないまま、気温が上昇する夏場を迎えるのを避けられない見通し。

このまま夏に入ると食品廃棄物の腐敗が進み、悪臭や害虫が発生して周辺の生活環境に影響を及ぼす懸念があるため、県はダイコーが稲沢市の3か所で不適正に保管している食品廃棄物を民法697条に基づく「事務管理」として、稲沢市、廃棄物関係団体、廃棄物処理業者の協力を得て8日から撤去を開始することとした。

愛知県、夏場前にダイコー4拠点で廃棄食品の撤去開始

▲撤去スキーム(出所:愛知県)

それでも撤去作業は数か月間かかる見込みのため、「特に緊急性を要する廃棄物」から優先して撤去していく。

こういうケースで適用されることが多い「廃棄物処理法に基づく行政代執行」は、ダイコーへの措置命令などの手続にかなりの時間を要するほか、悪臭の発生だけでは対象とするのが難しいため、民法の事務管理規定を適用して撤去することにしたという。

撤去作業は愛知県産業廃棄物協会、愛知県衛生事業協同組合が、中間処理は稲沢市、オオブユニティ(大府市)、豊田ケミカルエンジニアリング(半田市)、サンエイ(刈谷市)が、最終処分は愛知臨海環境整備センター(武豊町)がそれぞれ無償で協力する。

これらの撤去作業に伴い、分別積込作業費など3969万円の費用がかかるが、予備費で措置する。協力機関による無償協力がない場合、これとは別に2億1400万円が必要になるという。

■民法第697条
義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理をしなければならない。