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経産省、世界の石油化学製品の需給動向公表

2016年7月8日 (金)

行政・団体経済産業省は8日、素材産業課が事務局を務める世界石油化学製品需給動向研究会で、エチレン系・プロピレン系誘導品、芳香族製品などの石油化学製品について、2020年までの需給動向をまとめたと発表した。

■中国、石炭化学PJに1年程度の遅れ
中国では、石炭化学プロジェクトで公表済の50近い計画(エチレン換算で1700万トン)のうち、稼働済みのものを含め17年末までに18プロジェクト(585万トン)が実行される見込みとなっているが、原油安などの影響で全体的に稼働予定時期に1年程度の遅れが見られるため「18年以降、どの程度実行されるかは不透明」な状況。

エチレンの生産能力は、ナフサクラッカーも含めた新増設計画の進展に伴い、2100万トン(14年)から3100万トン(20年)まで増加する見込み。プロピレンは、PDHの新規プロジェクトが増加し、MTPも合わせたプロピレンの生産能力が2400万トン(14年)から3700万トン(20年)まで増加する。

■米国のシェール革命の影響
シェール由来の新増設エチレンプロジェクトは、原油価格の値下がりによる優位性の低下や建設コストの上昇などの影響を受けるものの、ナフサに対する絶対的な価格競争力は変わらない状況。

昨年の調査では、エチレンプラントの稼働開始時期に遅れが見られたが、今回調査では全体として稼働が早まる方向となっており、17年、18年をピークに1000万トンを超える能力増強が見込まれる。この結果、エチレンの生産能力は2700万トン(14年)から3400万トン(20年)まで増加する見込み。

■世界の需要
世界全体のエチレン系誘導品の需要量の伸び率は、東アジアで鈍化傾向も見られるなか、アジアが需要の伸びをけん引する見通しで、14-20年で年平均3.6%(07-14年の実績は年平均2.2%)の見込み。

プロピレン系誘導品は14-20年で年平均4.3%(07-14年の実績は年平均2.6%)で、今後もアジアが需要の伸びをリードするとみられるが、今後の経済成長率が鈍化することで小幅な需要の伸びに止まることも考えられる。

■需給バランスのポイント
エチレン系誘導品の需給バランスは、中国では石炭化学の進展に伴い生産能力が増加するものの、これを上回る勢いで需要が増加し、20年には需要超過幅が2200万トン(14年1600万トン)に広がる見通し。

一方、中東ではイランでエチレンプラントの建設計画が新たに具体化しており、20年には2200万トン(14年1600万トン)の供給超過になる。北米では供給超過幅が20年には810万トン(14年670万トン)に広がる見通し。

プロピレン系誘導品の需給バランスは、中国では14年に需要超過幅が520万トンに達して以降は、PDHプロジェクトなどの進展に伴い、20年には500万トンまで需要超過幅が減少する見通し。