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船主協会、欧州委の「新たな課金制度」に懸念表明

2016年7月15日 (金)

ロジスティクス日本船主協会は15日、シップ・リサイクルに関するEU規則を回避するために非EU籍へ転籍するのを防ぐために欧州委員会(EC)が導入を検討している「新たな課金制度」に対し、懸念を表明した。国際海運会議所(ICS)と欧州船主協会(ECSA)がこの課金制度に反対を表明し、アジア船主協会(ASA)もこれを全面的に支持した。

非EU籍へ転籍することで同規則の適用を回避することを防ぐため、ECは「経済的手法」の導入を検討、その結果を2016年末までにEU閣僚理事会・欧州議会へ報告することになっているが、このほどECはコンサルタントに検討を依頼し、その最終報告書が公表された。

ECは新たな課金制度として、(1)非EU籍船を含むすべてのEU諸港寄港船にシップ・リサイクル・ライセンスの購入を義務付ける(2)ライセンスの購入は、EUが承認するヤードとそれ以外のヤードとの解撤売船価の差に相当する金額を新たに設置するシップ・リサイクル・ファンドとして船主に積み立てさせる(3)この船舶がEU承認ヤードで解撤した場合にその額を払い戻す(そうでない場合は没収)――を提案。最終報告書では「経済的手法の導入は可能」と結論付けた。

日本船主協会は、この課金制度の導入が「海運業界に非常に大きな負の影響を与えるもの」と断じ、「南西アジアの解撤主要国で採用されているビーチング方式では充足できない要件がEU承認ヤードに求められているところから、ASA同様、この国での施設改善への意欲を削ぐ方向に働くことを懸念している」と、強い懸念を表明。世界統一ルールとして香港条約の早期発効を第一に目指し、解撤主要国でのリサイクルヤードの改善促進に取り組むという立場を示した。