アンモニアからFCV用高純度水素製造に成功

環境・CSR広島大学、昭和電工、大陽日酸、科学技術振興機構（JST）は19日、アンモニアから燃料電池自動車（FCV）用の高純度水素を製造する実用可能な技術の開発に世界で初めて成功した、と発表した。アンモニアからの高純度水素は、燃料電池自動車や燃料電池フォークリフトへの利用が期待されている。

アンモニアは「NH3」の化学記号で示されるように、水素を多く含み、エネルギーキャリアとして期待されているが、これまでは「高活性高耐久性」のアンモニア分解触媒を調製するのが難しく、水素を取り出したあとの残存アンモニア濃度を0.1ppm以下にできて再生が容易なアンモニア除去材料や「水素純度99.97％」を達成できる精製技術が必要だとされていた。

4者は今回、世界トップレベルのアンモニア分解用ルテニウム系触媒の調製、アンモニア除去材料の作製、水素精製技術を確立し、これらを用いたアンモニア分解装置、残存アンモニア除去装置、水素精製装置を実証システムの10分の1スケールで開発した。

これらの装置を組み合わせることで、世界で初めてアンモニアを原料とした燃料電池自動車用水素燃料製造注が可能となったことから、現在は昭和電工川崎事業所でシステムの実証を行うためのプロセスを検討しているという。

今後はアンモニア分解装置、アンモニア除去装置、水素精製装置をつなぎ、1時間に10N立方メートルのペースで水素を供給できる実証システムの開発に取り組み、アンモニア水素ステーションの実現を目指す。