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ヤマトが2017年にも自動運転宅配、DeNAと共同PJ

2016年7月20日 (水)

ロジスティクスヤマト運輸はDeNA(ディー・エヌ・エー)と組み、自動運転を活用した次世代物流サービスの開発に乗り出す。かねてから物流分野における自動運転に高い関心を示していたDeNAと共同開発プロジェクト「ロボネコヤマト」を立ち上げ、早ければ来年にも自動運転を活用した実際のサービスを開始する。

▲DeNAとの共同プロジェクトを発表する長尾裕社長(ヤマト運輸)

▲DeNAとの共同プロジェクトを発表する長尾裕社長(ヤマト運輸)

消費者と接する「宅配」を主要なビジネス領域としているヤマト運輸では、EC市場の急速な拡大と、少子高齢化が背景となるドライバー不足への対応が急務となっており、「運転が苦手な女性」やシニア層を配送要員に取り込む上で、自動運転車の活用は有力な解決策の一つになり得ると判断した。

ヤマト運輸はDeNAと組むことで、自社の要望を自動運転車両に反映させつつ、市販車両を導入するよりもコストを抑えた形で本格導入に備える狙いがある。

DeNAは従来から物流分野で自動運転の実現に向けた取り組みを進めていたが、自動運転車が実現した際に「ユーザー」の立場となるヤマトと開発段階で連携することにより、より利用者ニーズに即した形で開発スピードを高めるとともに、将来の大量導入も見込まれるヤマト運輸という「出口」を確保したい思惑もあるとみられる。

▲左から守安功社長(DeNA)長尾裕社長(ヤマト運輸)

▲左から守安功社長(DeNA)長尾裕社長(ヤマト運輸)

プロジェクトが対象としている自動運転は、国によるレベル分けで自動運転の最終形といわれる完全自動走行(レベル4)ではなく、「レベル3」に相当するもので、「加速・操舵・制動をすべてシステムが行い、システムが要請したときのみドライバーが対応」する仕組みを想定する。

▲使用車両イメージ

▲使用車両イメージ

レベル4については「現時点で宅配領域よりも幹線輸送などでイメージされる隊列走行に適した仕組み」だとして、今回のプロジェクトではレベル3を目指すこととした。

ヤマトが2017年にも自動運転宅配、DeNAと共同PJ

▲「ロボネコヤマト」プロジェクトのロゴ

来年3月の実用実験(ロボネコヤマトプロジェクト)までの間に、実験場所となる国家戦略特区の選定や住民への説明、自治体との連携などの準備期間に充て、来春のプロジェクト立ち上げ以降は「オンデマンド配送サービス」と「買い物代行サービス」の実用実験を開始する。

オンデマンド配送サービスは、共働き夫婦や一人暮らし層を中心とした顧客が「望む時に望む場所で」荷物を受け取ることができる配送サービスとして、スマートフォンで荷物の現在地や到着予定時刻の確認もできるようにする。

買物代行サービスでは、地域の複数商店の商品をインターネット上で購入し、オンデマンド配送サービスを利用して一括で運んでもらうイメージ。小さな子供を持つ家庭や高齢者による利用を想定する。

実用実験では、顧客のニーズに対応できているかの検証と、サービスを利用する顧客からの細かな要望を収集するなど、「課題の抽出」を主な目的とし、実験を開始する17年3月から1年以内に一部で自動運転を導入したサービスを展開する計画。

ヤマトでは今回の取り組みについて「ドライバーを削減するための取り組みではなく、長期的な人手不足に対応するために女性やシニア層が当社のドライバーとして就労しやすい環境を整備するため」だと説明しており、使用車両も同社の宅配専用車ではなく、市販車をベースとして後部座席に荷物の保管ボックスを設置する。