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首都高炎上事故の運送会社、33億円賠償しきれず破産手続き

2016年8月17日 (水)

ロジスティクス2008年8月に首都高速道路でガソリンを積載していたタンクローリーがカーブを曲がり切れずに横転・炎上し、橋桁などが熱で溶けて大きく損傷するなど「過去に例がない」ほど深刻な被害をもたらした事故で、車両が所属していた群馬県高崎市の運送会社「多胡運輸」が前橋地裁高崎支部で破産手続き開始決定を受けていたことがわかった。

帝国データバンクによると、同社は75年創業、92年11月に法人改組した運送会社で、群馬県内で燃料輸送大手の協力会社として、08年8月期には売上高3億6000万円を計上していた。

この事故では、1200度もの高温になった炎で橋脚や床版などが炙られ、路面が70センチ陥没するなどの被害が生じた。その後、加入していた交通共済から限度額となる賠償金10億円に加え、資産の整理売却などで賠償を企図したものの、損害額が多額であったため補いきれず、首都高速道路などから損害賠償請求を起こされていた。

また、運営に関して「利害関係人」が裁判所に申し立て、16年2月に弁護士の上野猛氏が仮代表に就任。その後、16年7月に同社と運転手に対し32億8900万円の支払い判決があり、今回の措置となった。

社会ニーズの強い燃料輸送業務を行っていたことから、運送事業に関しては、経理事務などを担当していた系列会社(以前は同社代表取締役が代表)に11年に移管、所有していた土地に関しても同年末に同社が取得している。

負債額は4社(事故の被害会社)に対し33億円。破産管財人は都木幹仁弁護士(同)。財産状況報告集会期日は11月9日11時。