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ANA、低温を100時間を維持する国際輸送月内にも開始

2016年9月21日 (水)

ロジスティクス全日本空輸(ANA)は21日、国際貨物の高付加価値輸送商品「PRIO」(プリオ)の新サービスとして、アイ・ティ・イー(ITE、東京都千代田区)のアイスバッテリーを利用した「PRIO IB Fixed Temp.」の提供を開始する、と発表した。

これまでのドライアイスを使う国際航空貨物保冷輸送では、一定の温度帯を長時間保持する輸送に課題があったが、ITEのアイスバッテリーを用いることで、二酸化炭素の排出ゼロ、指定温度を維持した長時間輸送が可能になり、温度管理が困難だったことで諦められていた生鮮食品、医薬品、半導体素材などの化学品を定温輸送する手段が誕生する。

新サービスでは、顧客の要望や使用目的に合わせて「2-8度」「マイナス20-マイナス15度」「マイナス25-マイナス20度」の3温度帯で長時間の航空貨物輸送に対応する。航空コンテナ(LD3型)から小型の保冷ボックス(2サイズ)まで3サイズの商品を用意し、9月28日日本出発分からスタートする。

主に冷蔵・冷凍の厳格な温度管理が求められるワクチンなどの医薬品、フォトレジストなどの化学品の輸送を想定し、出発地空港上屋から到着地空港上屋まで、一定温度で運ぶ。設定温度帯が2-8度設定の場合、定温で100時間以上の長時間輸送が可能だという。

ANA、低温を100時間を維持する国際輸送月内にも開始

(出所:全日本空輸)

対象路線はANAグループが運航するすべてのオンライン空港発着便で、これまでドライアイスが「不可」となっていた空港でも利用できるようになる。

IATA推計によると、世界の医薬品の保冷輸送マーケットは2014年から20年までに65%の伸び率となる見通しで、市場規模は20年に37兆円まで拡大。政府も「20年の農林水産物・食品の輸出額1兆円」の目標前倒しや地方産品の輸出促進による地方創生、地域経済の活性化につながる政策を推進している。