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ロ核燃料輸送企業、日本への濃縮ウラン売込み強化

2016年10月6日 (木)

国際ロシアの核燃料輸送・供給企業「テクスナブエクスポート社」(モスクワ)が、日本への濃縮ウラン供給に関する働きかけを強めている。

世界15か国で30社に核燃料サイクル関連製品を提供している同社は、ロシアでウラン材料の輸送定期港として開港したボスチヌイ港を活用し、環太平洋諸国向けの出荷体制を構築。

また神戸で9月23日まで開かれていた放射性物質の輸送容器と輸送に関する国際シンポジウム「PATRAM2016」にも参加するなどし、「輸送コストの削減」を材料にアピール。「世界の核燃料サイクルのサプライヤーが、物流管理の再構成を検討するなど新しい試みをする必要がある」として、供給元を含めた見直しの必要性に言及している。

ロシアのウラン材料の輸送用定期港は、過去40年間にわたってサンクトペテルブルクの商業港が使われていたが、2010年にテクスナブエクスポート社がレニングラード地方のウスチルガ港を、12年に極東地方のボストチヌイ港を開港し、3つの出荷港から定期的なウラン材料の輸送が行われている。

また輸送容器については、独自に開発・製作した輸送機器を使用し、ことし6月には同社の輸送機器を使用している企業に対し、フルメンテナンスを提供する保守管理施設をロシアに開設した。

テクスナブエクスポート社が日本への売り込み姿勢を強めているのは、日ロ間で北方領土交渉の進展が期待されているほか、12月のプーチン大統領来日が固まったことなど、安倍政権がロシアとの距離を縮めている雪解けムードの盛り上がりが背景にある。

これらに加え、ウランの供給先開拓に向けてロシア国営原子力企業のロスアトム社は物流管理の視点からバックエンド市場の発展に注力、2015年12月にはテクスナブエクスポート社をバックエンド関連製品とサービスプロモーション部門の「責任者」に指名するなど、物流環境の整備が加速。

テクスナブエクスポート社はロスアトム社の要望を受け、物流管理の優先課題として納期の短縮、電力供給元である電源の信頼性向上、輸送コスト削減に取り組み、PATRAMでも輸送ルートの多様化や輸送用機器管理など、主に物流開発分野でこれまでの経験やノウハウが蓄積されていることを強調していた。