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昭和電工、生分解性樹脂普及せず撤退表明

2016年11月2日 (水)

サービス・商品昭和電工は2日、レジ袋や農業用マルチフィルムなどに使用される生分解性樹脂(製品名「ビオノーレ」)の製造を年内いっぱいで終了することを決めた。土に埋めると分解される環境技術を用いた素材として注目されたが、規制が浸透せずプラスチック製レジ袋との価格差が縮まらないなど、事業環境の改善が見込めないと判断した。

生分解性プラスチックは、2014年の販売量が一般的なプラスチック樹脂の900分の1にとどまっており、日本バイオプラスチック協会が1月に環境省の会合で「生分解性プラスチックの販売量があまりにも少ない」などの課題を訴えていた。

同社の生分解性樹脂は兵庫県たつの市のたつの事業所で1993年から20年以上製造を続けているが、国内で浸透が進まないことから年産4500トン程度の生産力にとどまり、海外メーカーにも大きく水をあけられていた。

同社は生分解性樹脂事業からの撤退について「最近では、環境問題を背景にした欧州や中国でのプラスチック製レジ袋への規制の高まりを受け、ショッピングバッグ市場向けコンパウンド製品の販売に注力し、市場開発を推進してきたが、法規制の浸透遅延や市況価格の低下などに伴い、生分解性樹脂事業を取り巻く厳しい環境は改善の傾向が見られないことから、今後も製造・販売を継続することは困難と判断した」と説明した。

販売は2017年12月末まで続ける。また、同事業に関係する従業員は全員、グループ内の他部署へ配置転換する。