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自動車事故調が報告書

15年4月のタンクトレーラ横転事故、車両特性教育せず

2016年12月13日 (火)

調査・データ国土交通省は13日、事業用自動車事故調査委員会(自動車事故調)が静岡県富士宮市で2015年4月17日に発生したトレーラ(トラクタとタンクセミトレーラ)横転事故に関する調査報告書を議決した、と発表した。

この事故は15年4月17日5時8分頃、富士宮市の国道52号で灯油などを積載したタンクトレーラが走行中、下り勾配の左カーブで横転し、電柱と照明用ポールに衝突して2メートル下の山林の斜面に転落したもの。この事故では運転者が死亡し、車両のタンクも損傷、積載していた灯油などが斜面と斜面下の河川に漏れ出す事態となった。

自動車事故調では、事故の要因について「運転者が十分な減速をしないまま下り勾配の左カーブに進入したため、車両の安定性を失って横転し、路面を滑走して道路脇2メートル下の斜面に転落したと考えられる」と、スピードの出しすぎでカーブを曲がりきれなかったことが原因になったと指摘。

これに加え、運転者が所属する会社に対しても「運転者に対してタンクセミトレーラの運転特性などの教育を行っていなかった」「運行経路の選択を運転者任せにしていた」「運行に注意を要する場所などの必要な運行指示や、適性診断結果の指摘事項を踏まえた指導を行っていなかった」と、会社側の管理の甘さが事故の背景にあったことに言及した。

その上で、運行管理者に対する再発防止策として「運転者に輸送の安全を委ねていることを認識し、過積載とならないような運行計画を作成する」「適切な運行経路の選択、当該経路における道路及び交通の状況など、安全な運行に必要な指示を行う」ことが必要だと認定。

会社に対しては「運転者に対し適性診断を受診させるだけでなく、診断結果における注意点を的確に伝達し、このことを日常的に自覚させ、改善させるよう個別に指導を行う必要がある」「運転者に対し制限速度の順守を徹底させ、ドライブレコーダーの映像を活用した危険予知訓練や事故事例を用いた教育を行うなど、走行速度、積み荷の種類、積み荷の積載状態などが及ぼす走行安定性への影響について指導し、理解させることが重要」などととして、形だけではない管理の必要性を強調した。

特にタンクセミトレーラは重心が高く、走行に伴い重心が移動しやすい特性があるため、「走行速度について十分な注意が必要なことを理解させることが重要」だとして、制限速度を守っていればいいという考え方だけでは不十分で、車両や道路環境の状況に応じた対応を求めた。

■報告書の全文
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/jikochousa/pdf/1552201.pdf