ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

海運大手3社のコンテナ船事業、1年で3325億円縮小

2017年1月31日 (火)

ロジスティクスコンテナ船事業の統合で合意している日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運大手3社が1月31日、第3四半期決算を発表した。統合するコンテナ船事業は、前の年度の第3四半期と比べ、いずれも2割超の減収となった。

各社の売上減収状況は、日本郵船(ターミナル関連部門含む定期船事業)が1164億円(21.3%)減の4304億円、商船三井が1148億円(20.4%)減の4476億円、川崎汽船が1013億円(21%)減の3814億円――と、円ベースで3社合わせて1兆5920億円から1兆2594億円へと3325億円も縮小したことになる。

一方、経常損益の3社合わせては前年同期のマイナス218億円からマイナス610億円と、赤字額が3倍近くに膨れ上がった。

各社のコンテナ船の業績に関する記述から、運賃の回復傾向を比較したところ、北米・欧州・中南米航路は3社そろって改善途上にあるとしており、2017年に入ってからもこの傾向が続く気配をみせる。また、アジア域内航路では回復が遅れ、運賃がさらに低迷する動きもみられた。

海運大手3社 2

<海運大手3社の「2017年3月期第3四半期決算」におけるコンテナ船事業に関する記述>
■日本郵船
昨年8月末の韓国船社経営破綻後に北米航路は需給バランスが好転し、スポット運賃は上昇した。欧州航路では運賃は下げ止まったが、新造船の竣工が続き、回復傾向は緩やかだった。中南米航路では東西ともに需給バランスが改善し、運賃水準は夏場以降堅調に推移した。一方、アジア航路は引き続き厳しい市況環境だった。サービス面では、当社の参加するG6アライアンスでは大きな航路改編はなかったが、需要に見合ったサービスの合理化を進め、一部で休航を実施するなどして競争力の維持に努めた。コスト面では当期中の原油価格の上昇に合わせて燃料費単価が上昇する一方で燃費、積高効率に優れた新造大型船の投入、船舶の改造などにより燃料消費量の削減に努め、燃料費の増加を圧縮した。営業面では、マーケットの変動に合わせて高効率貨物を獲得し、積高、採算性の底上げに努めた。ターミナル関連部門の国内外ターミナルは順調に推移したが、定期船事業全体では、前年同期比減収となり、損失を計上した。昨年10月末に発表したとおり、邦船3社による定期船事業の統合(海外ターミナル事業を含む)を決断した。新合弁会社の本年7月の設立、来年4月の運営開始に向けて、社内体制を整え準備を進めている。

■商船三井
北米航路のスポット運賃市況は、第1四半期に記録的な安値水準まで下落したものの、アジア出し荷動きが過去最高を記録した前年同期を上回るペースで堅調に推移する中、夏場の受容器などにも支えられた結果、第2四半期以降ほぼ上昇基調を維持した。欧州航路のスポット運賃市況は、堅調なアジア出しに動きに支えられ夏場まで上昇した後、いったん需要期後の調整局面に入ったものの、冬場に入ってから旺盛な需要を背景に再度上昇に転じた。南米航路では当社を含む各社のサービス合理化により需給環境が大きく改善して以来、スポット運賃市況は高水準で推移した。アジア域内航路では、荷動きが伸び悩み、スポット運賃市況は低迷した。一方で年間契約運賃が、前期のスポット運賃市況低迷の影響を受け、北米航路を中心に多くの航路で期初に大幅な下落となったことが、期を通じて重荷となった。このような事業環境化、コンテナ船部門は、構造改革による船舶コストの削減、営業力強化による消席率の改善に加え、イールドマネジメント強化によるからコンテナ回送費などの運航コストの削減に継続的に取り組んだが、前年同期比で損失が拡大した。

■川崎汽船
国慶節後の閑散期も含めて荷動きは東西航路を中心に堅調に推移し、北米航路の積高は前年同期比9%増、欧州航路でも前年同期並みの積高を確保した。南北航路でも荷動きは堅調で、前年同期比8%増加した。アジア航路では収益性を重視したサービス改編を実施した結果、積高は前年同期比3%減となった。その結果、総積高は前年同期比5%の増加となった。堅調な荷況を背景に、短期運賃市況は前年同期比で東西航路を中心に反転したものの、船腹需給ギャップの解消には至っておらず、前年同期比で減収となり損失が拡大した。