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一五不動産情報サービス調べ

物流施設賃貸市場、東京圏の需給バランス均衡

2017年2月28日 (火)

調査・データ一五不動産情報サービス(東京都墨田区)が2月28日に発表した物流施設の賃貸マーケット調査結果によると、東京圏の賃貸用物流施設の空室率(1月時点)は4.9%となり、前期の5%から0.1ポイント低下した。

東京圏の新規供給は17.7万平方メートルで新規需要は18.4万平方メートルと、概ね均衡した受給バランスとなった。

具体的にみると、プロロジスによるスズケン専用施設の「プロロジスパーク古河1」、三菱商事都市開発による三菱商事ロジスティクス専用施設の「MCUD川崎II」、GLPの「GLP柏II」など、計6棟が新たに竣工した。また、2016年上半期に竣工した物件で稼働率の上昇が相次ぐなど比較的安定した受給環境となった。

今後の開発計画の発表も相次いでいる。シーアールイーは埼玉県上尾市で物流施設開発用地を取得、野村不動産と野村不動産投資顧問は商業施設から物流施設への建替えとなる「Landport東習志野」の計画概要、野村不動産は敷地面積で12万平方メートルとなる東芝青梅事業所の土地売買契約を締結、GLPは総延床面積で65.5万平方メートルに及ぶ「GLP相模原プロジェクト」の開発、ESRは千葉県市川市の官舎跡地で延床面積22.9万平方メートルとなる「ESR市川ディストリビューションセンター」の開発計画、ラサール不動産投資顧問は国内大手食品卸会社専用施設として「平塚東八幡物流センター」の着工――をそれぞれ発表した。

また、三菱ふそうトラック・バスは大和ハウス工業と敷地面積10万平方メートルとなる川崎工場第二敷地の土地売買契約を締結したことを発表。このほか千葉県流山市では、すでにGLPによる「GLP流山I、II、III」、大和ハウス工業による「DPL流山」(計3棟)、流山市平方地区共同開発(第2、第3)による物流施設計画が発表されているが、このほかにも物流施設建設を目的とした大規模な土地取引が確認されているという。

「『GLP相模原プロジェクト』を筆頭に、各開発計画が巨大化しており、複数棟で構成される物流団地が次々と誕生する見通し」(一五不動産)。

募集賃料は1坪あたり4170円で、前期の4140円から30円(0.7%増)の僅かな上昇となった。一五不動産によると「リーシング期間が長期化している一部の物件では募集賃料を引き下げる動きがみられるが、全般的な賃料動向は安定的に推移している」という。

一方、関西圏の空室率は5.9%となり、前期から4.5%から1.4ポイント上昇した。新規供給は11.1万平方メートルとなり、前期の32.9万平方メートルから大幅に減少した。新規需要も4.9万平方メートルと伸び悩んだ。このため、関西圏の空室率は3四半期連続の上昇となり、受給緩和がさらに進んでいる。

今後の開発では泉北高速鉄道が「北大阪トラックターミナル新棟計画」を発表している。北大阪トラックターミナルは、大阪府などが出資する大阪府都市開発によって1974年に供用開始されたトラックターミナルで、その一部を建替える計画。公共トラックターミナルと保管・流通加工を担う配送センターの機能を併せ持つ施設となっており、平屋建てが一般的なトラックターミナルに比べて床面積が大幅に増える。東京都内のトラックターミナルでも大規模な高機能型物流施設への建替え計画があり、「大都市圏ではトラックターミナルの高層化が次々と進むことが期待される」としている。

関西圏の募集賃料は3450円で、前期の3470円から20円(0.6%減)の下落となった。関西圏では「大量供給時期」に突入し、空室率も上昇しはじめている。「今後も需給緩和が更に進み、関西圏全体の賃料動向は弱含みで推移する見通し」(一五不動産)。