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JR貨物、鉄道事業が黒字化見通し

2017年4月3日 (月)

財務・人事日本貨物鉄道(JR貨物)が3月31日に発表した2017年度事業計画によると、2016年度は鉄道事業の営業利益が黒字化する見通しとなった。トラックドライバー不足や長時間労働の社会問題化を背景に、鉄道へのモーダルシフトや共同輸送などが奏功したものとみられる。

昨年度(16年度)は、国内貨物総輸送量が減少するなか、年度初に発生した熊本地震の影響に加え、秋口には台風上陸が相次ぎ、北海道地区で列車運行ルートが寸断されるなど自然災害に見舞われ、鉄道貨物輸送量は計画値を下回って推移した。収入の挽回に向けた積極的な営業展開を図るため、首都圏エリアで営業戦力の集中化を図り、新規営業活動を手がける「営業開発室」を新たに設置したほか、実務経験のある中途採用社員を中心とした新規開拓チームで営業展開を強化した。

コンテナ列車積載率、定時運行率も15年度からの高い水準を維持している。また、継続実施した「ボトムアップによるコスト削減」施策では、社員のアイディアにより燃料費や修繕費の削減効果が数値に現れ、収支改善に貢献した。こうした地道な努力により、「今後の事業運営に向けた基礎を築くことができた」という。

2017年度は新たな5年間の「中期経営計画2021」の初年度として、安全の確立と安定輸送の確保を前提に、盛り込まれた諸施策を確実に実施していく。

線路使用料に加え燃料価格も上昇が見込まれ、外的要因によるコスト負担が増大する。さらに車両修繕費、減価償却費も増加し、同社を取り巻く事業環境は厳しくなると予想されるが、3月に実施したダイヤ改正で再編・強化した商品を積極的に販売し、モーダルシフトのうねりをさらに高めるとともに、ドライバー不足、規制の強化などを背景とした中長距離輸送ニーズを取り込む方針。

さらに、鉄道事業の黒字(営業利益0億円)を継続するほか、関連事業は同101億円、経常利益は81億円、純利益64億円を計画している。