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隠れた再配達削減先進企業、20年経て「時代追いついてきた」

ファンケル、玄関前や自転車カゴへの配達強化

2017年4月6日 (木)
ファンケル、玄関前や自転車カゴへの配達強化
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話題ネット通販の購入者が指定した場所に商品を配達するなど、再配達削減に向けた日本郵便と楽天の連携強化が注目されているが、実は同様の取り組みを20年以上前に開始し、配達場所指定が配達件数の30%を占めるまでになっているのが、「化粧品ダイレクトマーケティング御三家」の一角を占めるファンケルだ。

「置き場所指定お届け」と名付けられた同社のこのサービスは、購入客の声に応える形で、宅配の再配達がまだ社会問題として認識されていなかった20年前の1997年にスタート。「玄関前」「ガスメーターボックス」「自転車のカゴ」など同社が示す9か所から配達場所を選べる取り組みで、その中には「洗濯機」という選択肢も存在する。

ファンケル、玄関前や自転車カゴへの配達強化

ファンケル、玄関前や自転車カゴへの配達強化指定場所で最も多いのは玄関前だそうで、治安のいい日本ならではのサービスといえる。盗まれたり、その仕組みを悪用したりといったトラブルのもとにもなりそうなサービスだが、「そういう事例もゼロではないが、大半のお客様には便利なサービスとして正しくご利用いただいている」(ファンケル広報グループ)。導入当時は「ユニークなサービス」として受け止められたであろうこの取り組みに、ようやく時代が追いついてきたのかもしれない。

実際の商品配達は宅配会社に委託しているわけだが、宅配会社が「自転車のカゴ」や「洗濯機」などへの配達を97年当時から受託したという事実に驚かされる。この点についてファンケルに聞くと、やはり当初は宅配会社側も商品の紛失などのトラブルを警戒したようだ。

ファンケル、玄関前や自転車カゴへの配達強化それでも実現に漕ぎ着けたのは、トラブルの責任を荷主であるファンケルが負うことを明確に示したから。仮に届けた場所に商品が「ない」などの連絡を受けた場合は、同じ商品を改めて配送する体制を整えており、ある意味「体を張った」ともいえる同社の取り組みによって宅配会社側の懸念も解消され、利用者の3割が利用するサービスに成長した。

同社も宅配の再配達が社会問題化していることは認識しているようで、不在時や応対が難しい時に商品を受け取れる利便性に加え、配送回数削減による環境負荷を減らす効果もある「置き場所指定お届け」の強化方針を6日に発表。提供開始から20年を経て「今こそ出番」とばかりにオンライン販売サイト内でサービス専用の特設ページを5月1日に立ち上げ、電話で受注する際にも顧客への告知を強化、配達場所指定率を現在の30%から50%に引き上げるという。

ファンケル、玄関前や自転車カゴへの配達強化同サービスは顧客の不在、在宅にかかわらず、指定された場所に商品を届けるもので、受領印も不要としている。利用者が事前に玄関前、ガスメーターボックス、自転車のカゴなど9か所から配達場所を選ぶことで、宅配会社は商品を配達する際、「配送完了の旨を記載した用紙」をポストへ入れて客に知らせる。一度置き場所を登録すると毎回、同じ場所へ配達することで、日付や時間帯などの配送指定がなくても受け取りやすいのが特徴だ。

■ファンケルの説明
「置き場所指定配達」を導入した1997年当時は、女性の社会進出が増え、在宅率が低下し始めており、顧客が商品を受け取りやすくするために同サービスを開始した。当初は「共働きで家にいない」「残業などで帰宅時間が読めない」という不在時の利用を想定していたが「赤ちゃんが寝ているのでチャイムを押されたくない」「体調を崩している」など、在宅でも顧客の事情やニーズに対応するサービスとして20年以上顧客に利用してもらっている。また、配送会社の配送回数が削減されて、配送コストと労働力が軽減されるため、二酸化炭素の排出量を減らすことで環境負荷の軽減も図ることができる。

■利用した顧客の声
「いつも置き場所登録を玄関前で利用しています。留守でも簡単に受け取れてとてもいいシステムだと思っているのでぜひこれからもなくさないで続けてください」
「呼鈴が鳴るとドキドキ、バタバタしてしまうので、ドアの前に置いておいてくれる置き場所のサービスが、とてもありがたいです。便利なので、このサービスはこのまま続けてください」
「他社で注文した際、留守だったら不在票が入ったり、連絡したりと面倒。ファンケルさんで頼んだら指定の場所に届けてくれるので、気がとても楽。助かっています」
「置き場所指定配達はね、本当におたくのホームランだと思いますよ。留守の時で玄関前にちゃんと置いていってくれるから本当に助かっている」