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三菱ふそうが21年ぶり大型トラック刷新、AMT標準装備

2017年5月15日 (月)
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荷主三菱ふそうトラック・バスは15日、千葉県浦安市の浦安ヘリポートで、実に21年ぶりのフルモデルチェンジとなる大型トラック「スーパーグレート」を発表した。日本で初めて機械式自動変速トランスミッション「AMT」を全車標準装備とした。

マーク・リストセーヤ社長兼CEOは「私たち三菱ふそうが、日本市場で再びリーダーシップを担うための試金石になる。先進技術を採用したこれらフラッグシップ車両が、クラス最高の燃費性能と、安全性能、そして快適性を実現し、事業者と運転手に新たな価値を提供する」と語り、トラックの車輪脱落による死亡事故や欠陥隠しなどで失った“信頼”を取り戻す決意を込めた。

また、「トラックのコネクティビティの時代がきた。トラックがどこにいるかが分かるだけではない。車両が自らデータを発信し、管理する運送会社側がスピード、急ブレーキなどの状況を把握できるようになった。すべてのトラックがデジタルタコグラフを標準装備しているため、追加で装着する必要はない」と新型トラックの特徴を説明した。

新型スーパーグレートのフルモデルチェンジは1996年以来21年ぶりで、内外装のデザインを一新。新開発した2種類の小排気量エンジン(6R20型=10.7リッター、6S10型=7.7L)を採用し、従来車両と比べて大幅な軽量化を実現した。また、12段機械式自動変速トランスミッション(AMT)である「ShiftPilot」(シフトパイロット)を全車に搭載、円滑なシフト操作で快適性を確保した。

また、歩行者検知も可能となった衝突被害軽減ブレーキ「ABA4」(アクティブ・ブレーキ・アシスト4)、MDAS-III(エムダススリー)の技術を進化させた運転注意力モニター「アクティブ・アテンション・アシスト」、国内初の左死角に隠れた危険を警告する「アクティブ・サイドガード・アシスト」などの安全装備を採用し、大型トラックによる事故削減をサポート。

車間距離保持機能付オートクルーズに、自動停止、自動発進機能を追加した「プロキシミティー・コントロール・アシスト」を新たに採用するとともに、オートクルーズを使用中にGPSと3D地図情報によって道路勾配を予測し、省燃費走行を図る「パワートレイン3D予測制御」(オプション設定)により、経済性と快適性を実現している。

また新たに、テレマティクス機能として「Truckonnect」(トラックコネクト)を標準採用。稼働中のリアルタイムなトラックの情報を顧客のPC端末でチェックできるサービスとして導入したもので、車両の現在位置・稼働経路、車両の故障時や事故などのトラブルを確認できる。ドライバーの安全運転の状況もリアルタイムで把握可能。

また、デジタルタコグラフの基本項目を確認することができ、燃費状況も含めた業務効率化を図ることができる。初期導入費用、サービス通信費用、デジタルタコグラフ本体費用を無料としているのは、日本の商用車メーカーとして初めて。

三菱ふそうセールスジャパンの丹野誠・販売統括部長は「新型スーパーグレートは、顧客のニーズである経済性、安全性、快適性に適合した、ベンチマークになる製品だと確信している。すべてにインターネットがつながる時代がやってきた。当社は新たなテレマティクスであるトラックコネクトサービスを導入し、顧客と常につながるとともに、顧客のビジネスに利益をもたらすため、さらなるシステムの開発を進めていく」と述べた。

■新車発表会における記者会見の主な質疑
――物流は少子高齢化で人手不足に悩んでいる。人手不足に対する認識は。

マーク・リストセーヤ社長兼CEO:少子高齢化は日本だけの問題ではない。中国ではより早く進行しているし、ドイツ、香港、イタリア、スペインなどでもそうだ。そういう状況に対して、われわれは何ができるか。それは、人々が「ドライバーになりたい」と思えるようにすることだ。彼らがドライバーになりたいのはインドなのか、日本なのか。そういうドライバーのポジション作りが必要だ。

例えば、隊列走行は今後、より早いスピードで導入が進むだろう。しかし、ドライバーはこの単純なドライブをつまらないと感じるだろう。では何をすればいいのか。まずはトラックにオートパイロットを標準機能として入れることになるだろう。これから5年、10年の視野で自動運転のレベルを上げていきたい。

――車両の電動化に取り組んでいるが、電動化やハイブリッド化の予定はあるのか。

マーク・リストセーヤ氏:ハイブリッド技術を搭載するのはコストが高くなる。(通常の駆動システムと電動の)両方のシステムを搭載するからだ。電動トラックの「eキャンター」は4200台販売した。大型トラックの電動化は難しいが、最終的には皆さんを(大型電動トラックのお披露目に)招待できるようにしたい。

――スーパーグレートの販売戦略について。

丹野誠・三菱ふそうセールスジャパン販売統括部長:大型トラックは市中に68万台走行している。三菱ふそうはこのうち25%のシェアを持っている。今後の販売戦略はフィール&タッチ、バリューアップし続けるアプローチ、営業スタッフのトレーニングを踏まえ、顧客の状態に合ったサービスを提供する――ことの3つだ。