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日通が中欧間の鉄道輸送強化、「一帯一路」で需要拡大

2017年5月18日 (木)

話題日本通運は18日、中国と欧州間のクロスボーダー鉄道輸送サービスを大幅に拡大すると発表した。中国と欧州の現地法人が連携して5月22日からサービス対象の都市と輸送ルートを拡げ、ユーラシア大陸内の鉄道輸送の呼称を「Eurasia Train Direct」(ユーラシアトレインダイレクト)に統一して販売を強化する。

中欧の現地法人は2015年11月からコンテナ貸切(FCL)サービス、16年8月から混載輸送(LCL)サービスを提供しているが、これまではFCLが武漢発欧州5都市、重慶発3都市、吟爾濱(ハルビン)発1都市、デュイスブルク(独)発中国2都市、LCLが重慶発4都市、デュイスブルク発1都市――の延べ6ルートのみ取り扱っていた。

今後はFCLの西行(中国発欧州向け)で従来の武漢、重慶、吟爾濱(ハルビン)に成都、西安、雑貨類の巨大生産地として将来性が期待される浙江省義烏(ギウ)などで取り扱いを開始。東行(欧州発中国向け)も従来のデュイスブルクに加え、ブレスト(ベラルーシ)、マドリード(スペイン)、ブダペスト(ハンガリー)など複数の国で利用できるようになった。

LCLの西行はこれまで武漢に集約していたが、日系企業が集積する上海、無錫、寧波などの華東エリア、北方の工業都市である天津、青島のほか、広州、東莞、中山などの華南エリアでも取り扱いをスタート。東行はデュイスブルグにハンブルク(独)を追加した。

FCL、LCLともにサービスエリアを拡大したことで、貨物量の多寡を問わず近い貨物鉄道駅からブロックトレインに積載したり、適切な輸送ルートを選択したりといったことが可能になる。

例えば浙江省からスペインヘ輸送する場合、これまでは武漢からデュイスブルクまでを鉄道で輸送し、その前後はドレージで長距離輸送を行っていたが、今後は義烏からマドリードまで鉄道を利用することで、一貫輸送運賃を30%削減することが可能になる。中国、欧州域内ともに日通グループのトラック輸送網を組み合せ、発着の顧客拠点間を同社グループが一貫輸送する。

中国の現地法人では、16年10月から日本人、中国人、ロシア人、カザフ人によるクロスボーダー輸送開発チームを設置。中国と香港の現地法人、グループ会社でも30人の鉄道輸送拡販チームを作り、海上輸送・航空輸送と連動したサービスの提供を進めている。

日通が中欧間のクロスボーダー鉄道輸送を拡充するのは、中国で進む「一帯一路」政策の一環として、中国政府が2020年までに中国43都市から年間5000本のブロックトレインの運行を目指すと表明しているのが背景。

貿易量の拡大が続く中欧間の物流でニーズが多様化し、輸送需要も高まっていることから、鉄道輸送を「航空輸送と海上輸送の中間商品」に位置付け、「空よりも安く、船よりも早い」サービスとして拡販に注力する考えだ。