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17年首都圏白書、圏央道のストック効果強調

2017年5月26日 (金)

調査・データ政府は26日、「2016年度首都圏整備に関する年次報告」(2017年版首都圏白書)」を閣議決定した。

第1章で「首都圏での労働力の現状と生産性向上に向けた取組」、第2章では、社会資本の整備状況を記載。物流に関しては、年間280万人分の労働力が交通渋滞に費やされているとして、交通の要衝で改善対策が行われている状況を紹介しているほか、圏央道の整備によるストック効果、国際コンテナ戦略港湾である京浜港の整備強化の必要性などを訴える内容となっている。

交通渋滞は、渋滞損失が年間50億人時間、およそ280万人分の労働力に匹敵し、このうち3割が首都圏に集中していると指摘。高速道路のIC区間別渋滞ワーストランキングで首都圏の高速道路が上位を占める現状を示しつつ、下り坂から上り坂にさしかかる凹んだ部分(サグ部)などの構造上の問題で、速度が低下し交通が集中することが渋滞要因の28%を占めている、と要因を分析し、その対策としてETC2.0が活用されていることを記した。

ETC2.0を利用することにより、こうした速度低下か所の道路交通状況を効率的に把握でき、車線ごとの旅行速度などのデータ分析から高速道路の速度低下の原因か所を特定して効果的・効率的に是正するピンポイント対策の取り組みが進められている。

高速道路(IC区間別)の渋滞ワーストランキング上位(2015年・全国)

また、2017年2月末の圏央道の境古河IC-つくば中央IC間の開通で首都圏3環状道路の整備率が79%となるなど、3環状9放射道路網の整備が進捗している状況を紹介。

16年4月から導入された新高速道路料金により、東名高速道路と東北自動車道間を利用する都心通過交通が環状道路へ転換し5割減少するなど、都心通過交通全体が1割減少、首都高速道路の交通量が1%減少し、首都高速道路全体の渋滞損失時間が1割減少するなどの渋滞緩和の効果が確認された、と成果を強調している。

圏央道の沿線地域では、既存産業の集積や道路整備に伴う交通アクセスの利便性向上に加え、労働力の確保や災害時の事業継続性の観点などを要因とする工場や物流施設の立地が進展。

主にコスト削減やマザー工場化などの拠点強化、操業環境改善といった国内生産拠点の再編を一因とした工場立地が進み、圏央道沿線を中心にEコマースの普及を背景にした大規模な広域物流施設の立地が進んでいる、としている。

圏央道周辺の工場・物流施設立地件数(国土交通省)