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佐川急便、身代わり出頭問題で再発防止策

2017年6月2日 (金)

事件・事故佐川急便は2日、60人以上が放置駐車違反の身代わり出頭で摘発された問題で、「信頼回復」に向けた再発防止策をまとめ、公表した。

この問題を受け、同社は外部の弁護士3人で構成する社外調査委員会を設置し、放置駐車違反の身代わり出頭に関する原因究明と再発防止策、独自の調査を踏まえた提言を目的に、昨年12月13日から17年3月9日まで活動した。

社外調査委は1月18日から1週間かけて在籍する従業員4万7700人全員に対するアンケートを実施。身代わり問題の関係者に「身代わり出頭までの経緯」や背景、防止策などのインタビューを行った。

この結果、従業員が(1)車両を使用して配送を行っているドライバーが、事故・違反を起こした際の教育期間中、運転以外の業務にあたる「下車勤務」で同僚に迷惑がかかる(2)駐車違反の報告がしづらい職場環境(3)タワーマンション、幹線道路などの集配エリアの特性(4)指導・教育内容のバラツキ(5)違反による減点のがれなどの自己判断(6)犯罪行為であることへの認識欠如――といった認識を持っていることがわかった。

これらの調査を踏まえ、同社は「放置駐車違反の防止」策として、駐車スペースを確保するため、集配コースごとに駐車場所を記載した地図を作成し、駐車場所が適正であるか定期的な検証を実施するほか、集配コースの変更などで新任の運転者が乗務する際に確実に引き継ぎ、駐車違反の抑制を図る。また、全営業所へのヒアリングで月極駐車場の増設要望が多く出されたことを受け、17年度上期中に月極駐車場を増設してスペースを確保する。

さらに、「同乗者を増員したい」との要望が出されたことを受け、17年度上期中に「2人乗務体制」の整備完了を目指すとともに、車両を使用しない集配の仕組みであるサービスセンター、デポセンターといった小規模店舗を配置し、台車などを使用して配送する拠点展開を進める。

次に、身代わり行為の再発防止対策として、身代わり行為に関連する事案の概要を周知し、事件の教訓が風化しないよう定期的に不祥事防止教育に活かす。また今後は「身代わり行為」に関連する社内処分を厳罰化し、交通違反の報告先を営業所の運行管理者に統一、報告体制図に明記する。

このほか、下車勤務廃止の再周知、交通違反関連の再教育の統一、運輸安全マネジメントに基づく安全教育、内部通報制度の再周知・充実などの対策を講じる。

再発防止策の効果を検証する方法としては、内部監査の監査項目の見直し、抜き打ち監査の実施により、不法・不正行為に対する抑止力として機能するよう改善を図る。また社外の弁護士や有識者の協力を得ながら、四半期・半期ごとに効果を検証する。