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DMP37億円増資、産業革新機構など国内7社出資

自動走行向け3D地図整備が加速、物流会社と連携強化

2017年6月13日 (火)
空白▲新しいロゴを発表するダイナミックマップ基盤の中島務社長(右)

話題産業革新機構、三菱電機、ゼンリン、パスコ、アイサンテクノロジー、インクリメント・ピー、トヨタマップマスターの7社は13日、2018年度までに国内の高速道路と自動車専用道路全線の「高精度3次元地図基盤データ」の整備を完了するため、総額37億円を拠出すると発表した。

この事業の準備を進めるために設立した共同出資会社「ダイナミックマップ基盤企画」(DMP)に7社合わせて37億円を追加出資する。DMPは当初予定していた準備期間を1年前倒しし、企画会社から事業会社へと事業内容を転換、18年度までの完了を目指して高精度3Dマップ基盤の整備に着手する。

併せて、基盤データの効率的な維持・メンテナンスの実現に向け、道路管理者や民間物流会社との連携も強化し、将来的には国内一般道や海外の道路も事業対象とすることを視野に入れる。

DMPは昨年6月、自動走行・安全運転支援システムの実現に必要とされる高精度3Dマップの協調領域で整備・実証、運営に向けた検討を行う企画会社として、電機・地図・測量会社と自動車会社の共同出資で設立。実運用に向けたデータ仕やシステム構想、メンテナンス仕様の立案、関係機関との調整、実証、永続的な維持整備を前提とした事業性の企画・検討――などに取り組んできた。

“新生”DMPが担うのは、位置補正、点群生成、地物化、そしてこれらのデータを統合するという正に自動走行へ地図データを利用しようとする際の「基盤」領域だ。13日に都内で行われた共同記者会見には、内閣府、警察庁、国土交通省、経済産業省など多くの省庁が駆けつけた。

実際に自動走行へ高精細3Dマップデータを活かしていくには、目的に応じたデータの加工が必要になるが、この部分は「競争領域」として出資各社を含む自動車メーカーや地図会社などが、独自の機能を付加して鎬を削る段階となる。

自動運転分野は国内だけで競争してポジションを取れる分野ではなく、世界のさまざまな企業が連合を組んで日夜研究開発に取り組んでいる。13日の発表の場は日本を代表する自動車メーカーや地図会社、関係省庁が参集したことで、オールジャパン体制で自動運転の基盤づくりに取り組む姿勢を印象づけるものとなった。

■質疑応答における主なやり取り

――フィアットと協調するということだが、競争と協調の切り分けをどう考えているか。

▲ダイナミックマップ基盤の中島務社長

中島務氏(DMP社長):地図がクルマにインストールされるところは世界的に標準化されているが、どう地図をつくるのかは各社ごとに異なる。この部分について、協調していきたい。その上で日本の地図会社が競争していくことになるだろう。

――海外、特に中国市場における事業の展開について、どう考えているか。

中島氏:直接、中国で地図を作ることはできない。われわれのつくるデータと合わせた仕様で作ってもらえればいい。海外展開はノウハウ供与が中心になる。

――高速道路3万キロでデータを整備するというが、費用の概算は。

中島氏:産業革新機構の出資額と通じるが、30億円程度だと考えている。

――費用先行だと思うが、いつ頃から利益を得られるようになるのか、最終的にどの程度の利益を生み出す会社になるのか。

中島氏:しばらく赤字が続く。2020年のオリンピック以降にやっと立ち上がる。それとともに、運転支援システムへの活用も見込む。20年代前半に単年度黒字化ができるのではないか。

――産業革新機構として、出口戦略についてどう考えているか。

▲産業革新機構の土田誠行専務

土田誠行氏(産業革新機構専務):基本的には、現在のパートナー企業と相談しながら、M&Aが中心になるだろう。出版デジタル機構のときも、株主と相談しながら売却した。基本的には同じスタイルになるだろう。

――二次的なサービスへの利用は?

中島氏:高速道路(のデータ)だけですべてのサービスが完結するわけではない。二次的なサービスへの活用はその延長線上にあると考えている。

――車両がリアルタイムに上げてくるデータは誰のものになるのか。

中島氏:プローブデータの活用については、各社と相談していく。ここでは割愛したい。

■DMPのウェブサイトURL
http://www.dynamic-maps.co.jp/