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6月の鉱工業在庫率改善、基調「持ち直しの動き」

2017年6月30日 (金)

調査・データ経済産業省が6月30日に発表した5月の鉱工業生産は、前月比マイナス3.3%、出荷も前月比マイナス2.8%とともに低下したが、在庫率は改善した。6月の生産計画は上昇見込みで、ならせば生産水準の大きな低下は回避する見通し。基調判断は「持ち直しの動き」で据え置いた。

5月の生産は、季節調整済指数100.4、前月比マイナス3.3%低下。前年同月比は6.8%上昇で、7か月連続で前年同月比上昇が続いた。4月、5月の生産指数の平均の指数値は102.1となり、今年第1四半期の指数値100を上回っている。6月の生産が大幅減産、マイナス5%近い減産にならない限り、第2四半期も前期比上昇を維持し、5四半期連続の前期比上昇となる計算になるとしている。

鉱工業出荷は指数値98.3、前月比マイナス2.8%の低下となった。5月自体の出荷のレベルについては「昨年第4四半期や今年の第1四半期よりも若干低め」とみているが、4月の出荷水準が高かったこともあり、4月と5月の出荷指数の平均は99.7と「まだ高い水準を維持している」。「6月出荷に大きめの低下がない限り、第2四半期の鉱工業出荷は、2期連続の前期比低下は避けられる」と試算している。

5月の鉱工業生産は前月比マイナス3.3%と大幅に低下したが業種別では15業種中、14業種が前月比で低下。うち、8業種が4月の上昇からの反転低下業種だった。

ほぼすべての業種が低下業種だったこともあり、3か月ぶり(繊維工業)、4か月ぶり(プラスチック工業、非鉄金属工業、窯業・土石製品工業)に生産を低下させる業種も出てきており、「5月は全業種的に生産が低下している」としている。

6月の生産計画は、前月比2.8%上昇を見込む。7月の生産計画は6月計画からマイナス0.1%低下する見込み。2017年に入り、鉱工業生産は前月比の方向が入れ替わる状態で、5月の生産低下から6月は生産上昇の見込みとなっている。7月の低下見込みについては「それ程大きなものとはなっていない」とみる。

6、7月の生産計画は、昨年同月の生産実績をともに10%前後上回る計画となっており、生産水準自体は維持されているが、4月の実績には戻らない水準にとどまる。企業の生産予測に含まれる規則的誤差を修正すると、6月の生産は、前月比1.7%程の上昇になると試算している。

5月の鉱工業生産は大きめの低下を見せ、出荷も前月比低下となっているが、生産の抑制が効いていることから、在庫は横ばいに近い微増。在庫率は改善し、在庫循環も「在庫積み増し局面」で大きな変化はなかった。

また、生産の先行き計画、6月上昇、7月微減が計画されているが、補正計算の伸び幅であれば、6月の生産水準は4月の水準には戻らない可能性が高い。こうし状況を踏まえ、基調判断は「持ち直しの動き」で据え置いた。