ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

ZMPが宅配ロボット試作、宅配寿司と組み実用化目指す

2017年7月13日 (木)
空白

話題ZMPと宅配寿司「銀のさら」を展開するライドオン・エクスプレス(東京都港区)は13日、歩道を自動走行する宅配ロボットのプロトタイプを報道陣に公開した。

プロトタイプながら宅配ロボットとして紹介された「CarriRo Delivery」(キャリロ・デリバリー)は、ZMPが自動運転や昨年8月から販売している物流支援ロボット「CarriRo」で培った技術を応用し、開発したもの。発表会では、宅配ロボットの運用に向けた取り組みとキャリロ・デリバリーの実機デモンストレーションを行った。

ZMPの谷口恒社長は、「現在、東京芸術大学の博士課程に在籍しているが、その研究室で宅配ロボット構想に着想した」と宅配ロボットの開発に至った経緯を説明。「イベントごとの許可ではなく、シニアカーなどと同じ扱いにして早期に歩道を走行させられるようにしたい」と、実用化に向けて規制緩和の必要性を訴えた。

▲ZMPの谷口恒社長

ロボットには宅配ボックスが搭載され、レーザーセンサーとカメラで周囲の環境を360度認識しながら、最大時速6キロで自動走行する。遠隔監視と必要に応じて遠隔操作を行うことが可能で、8月以降に実証実験のパートナーと技術面、サービス面を検証する。

ZMPは宅配ロボットの開発について「宅配やフードデリバリー業界の配達員不足という課題解消に加え、買い物弱者と呼ばれる人々の買い物を手助けすることを目指す」と動機を説明。今後、両社が協力して世界初の寿司の宅配実証実験を行い、まずは私有地内で実験を行いながら、公道での実証を目指していく。

ZMPの谷口氏が、宅配ロボットによって描くイメージは「トラックが入れないような細い道に入って配達することができるという外観上の利点を生かし、ラストワンマイルの担い手になる」というものだ。

今回寿司の配達を行うということだが、配達エリアの広さはどうか。説明によると、フードデリバリーは40分以内に配達することが許容範囲とされ、例えば時速3キロで移動すると、半径2キロが最大配送エリアになる。

▲寿司10人前を積み込み到着したCarriRo Delivery

キャリロ・デリバリーは時速6キロで移動することが可能だが、これはあくまでも最高速度であって、実際の業務に従事する場合、時速3キロで半径2キロというのはやや広すぎるかもしれず「高密度に配達業務を回転させようとすれば、半径1キロが現実的だと考えている」(谷口氏)。

また、ヤマト運輸や佐川急便のセールスドライバーがそうであるように、個人宅を訪問するという業務上の接点を生かし、遠隔AIコミュニケーション機能を使って顧客と会話するだけでなく、高齢者への声かけや映像を含めた安否確認を行う役割も想定している。異常を検知すれば人が駆けつけるなどして、宅配ロボットが高齢者の見守りを担うのだという。

■ZMP谷口恒社長とライドオン・エクスプレスの江見朗社長の会見
――ドローンを使った物流の実験も行われているが、ドローンとの住み分けはどう考えているか。
谷口氏:寿司は重いので、ドローンでブンブンと飛んで運ぶのは…。緊急を要するような医薬品輸送などはドローンを使えばいい。今回のように寿司10人前をドローンで運ぶのは無理で、フードデリバリーは宅配ロボットが向いているのではないか。

――規制面の課題は具体的にどんなことか。
谷口氏:試作した宅配ロボットは小型特殊車両に分類されるようだが、まずはどのカテゴリーに所属させるべきなのか、明確にすべきだ。現在でも警察に届け出ることで、イベント的に使うことは可能だが、日常的な使用は認められておらず、当社はシニアカーや歩行者と同じ扱いにしてほしいと訴えている。歩道を渡ったりすることも必要になる。混雑しているところなど、安全面の問題もあるが、これは技術的に解決できる。

――実用化のメドは。
谷口氏:今回のはプロトタイプ。安全面も詰めなければならない。最初は道路使用許可を得て進める。人が伴走しながらとなるが、ステップを踏んで進めていく。使い勝手を検証し、法規制をクリアできる段階になれば、いつでも量産に移していきたい。量産そのものはそれほど時間がかかるものではない。

――宅配事業に利用する場合、どの程度のコストメリットがあると考えているか。
江見氏:コストはロボットを量産できるかどうかにかかっているが、非常識な価格にはならないだろう。バランス的に十分に(メリットが感じられる水準に)行けるのではないか。