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三井不・三木氏会見、今後は年4物件程度の開発ペース

2017年7月20日 (木)

▲ロジスティクス本部の三木孝行本部長(常務執行役員)

荷主三井不動産は20日記者会見を開き、ロジスティクス本部の三木孝行本部長(常務執行役員)が物流施設開発事業への参入からこれまでの取り組みを振り返った。また、これまでの事業運営で認識した自社の強み、事業ステートメントの具体化に向けた今後の事業戦略を説明した。

三木氏は冒頭、「当初は10人足らずで事業をスタートした。(現在の事業規模に到達したのは)夢のような心地だ」と、事業に参入してからこれまでの5年間を振り返り、建設会社とのパートナーシップや先進的な商品企画、免震構造へのこだわり、「ららぽーと」やアウトレットパーク事業で培った機能的なデザインの導入――など、今や同社の強みになったともいえる取り組みを紹介した。

記者会見における主なやり取りは次の通り。

――宅配の現場が疲弊しているという報道が増えた。物流現場における人手不足について、ディベロッパーの立場でどう考えているか。

三木氏:非常に深刻な問題だ。国土交通省、ほかのディベロッパーと開催している勉強会でも話題になっており、1社だけで取り組むべき課題だとは思えない。「当たり前に届く」と思っている消費者も少なくないだろうが、サービスレベルを抑えてでも宅配が抱える課題を改善できるよう、場合によってはテナント企業が立場上、言いにくいことも行政などに主張していきたい。

――冷凍冷蔵倉庫の老朽化が進み、新たなフロン規制もスタートする。一方でEC市場の拡大とともに冷蔵倉庫需要が高まっているが、どんな対応が考えられるか。

三木氏:間違いなく冷蔵倉庫の建て替えニーズは出てくる。前向きに取り組んでいきたい。

――今後の事業展開について。投資額は5年で4000億円に達する見込みということだが、今後の投資規模はどうなるのか。M&A含め、外部からの事業や物件取得も考えているのか。

三木氏:今後の投資額も含めて4000億円。年間4物件程度のペースで開発を進めていきたい。1物件あたりの投資額は100億円。年400億円は投資していきたい。

――施設管理について。リートとの協業になるだろうが、事業規模が拡大すれば館内物流などの物流機能そのものに踏み込む必要性も出てくるのではないか。

三木氏:現在は社員がPM業務を担っているが、物件が増えれば商業施設事業などと同様、PM会社を設立する可能性もあるだろう。

――物流施設の需要と供給の関係をどう見ているか。

三木氏:参入障壁が低いのか、5年間に多くの会社が参入してきた。そういう事業環境の中で、入札に参加すれば5社から6社は手を挙げる状況で、非常に供給側が積極的になっているという印象。だからこそ、当社はできる限り入札による土地取得を回避し、エリアにメッシュをかけて細かく分析し、リスクの低いところを見出している。圏央道沿線がいいからそこに建てよう、などという単純な動機で開発することはない。マクロで見すぎると、需給状況を勘違いしてしまう。

――エリア戦略はどう考えているのか。

三木氏:現在は福岡で1件、名古屋で2件。今後はできれば広島、札幌、仙台でも具体的な検討をしている。海外は東南アジア。商業施設事業が東南アジアに進出し、それに伴ってアパレルなどの日本企業が進出した。そういうグループ事業間のつながりを生かしながら、日本企業が進出するお手伝いができないかを考えている。豪州に出る可能性もあると思う。

――東南アジアへの進出を考えているということだが、具体的には。

三木氏:まずはアウトレットパークとららぽーとが展開している台湾とマレーシアのクアラルンプール。東南アジアの中心であるバンコクも可能性が高い。シンガポールも港としては素晴らしい。これらの4都市が候補になるだろう。