ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

フォークの稼働管理で10月から導入事例

日立、搬送車両・作業員の位置精度高める新サービス

2017年9月4日 (月)

サービス・商品日立製作所は4日、自律航法でGPSの電波が届かない屋内でも搬送車両や作業員の高精度な位置情報を計測・可視化し、データを分析する屋内外位置情報活用サービス「Tracking View」(トラッキングビュー)の提供を開始すると発表した。

事業化の第一弾として、日立と日立キャピタルオートリースが協業し、フォークリフトのリース事業と組み合わせて10月から提供する。日立キャピタルオートリースのユーザー(リース先)で運用されているフォークリフトに搭載したセンサーから、収集した稼働情報や屋内外の位置情報などのデータを、日立の「Doctor Cloud」(ドクタークラウド)で分析し、見える化。

日立キャピタルオートリースは、その情報を基にフォークリフトの最適な配置や適正保有台数を算出するほか、資材の配置など現場レイアウトの最適化をユーザーに提案できるようになる。車両のスピード超過・急加速・急減速・急旋回などの情報を安全運転指導や路面レイアウトの改善に活用することで、現場の安全性向上を図ることが可能。

日立キャピタルオートリースは、車両管理の合理化や車両保全の充実、コストの適正化といった顧客のニーズに応えるため、フォークリフトのリースや車両の修理、点検サービスを加えたメンテナンス付リースを提供している。IoTなどのデジタル化が大きく進展する中、日立をはじめとしたパートナーとの連携を強化することで、リースにとどまらず、車両に関連するサービスを組み合わせた高付加価値のビークルソリューションモデルの構築を目指していく。

トラッキングビューを導入し、屋内外でフォークリフトの運行・稼働状況や作業者の動線を分析することにより、適正な保有台数を算出したり、安全性を確保したりといったことが可能になる。同社はトラッキングビューを、国内外の車両リース会社や建設会社、製造・流通・社会インフラ分野など向けに、クラウド型機器保守・設備管理サービスのオプション機能として提供する。

工場・倉庫の建屋内、ダムなどの地下の構造物内、ビル施工現場、トンネル内など、GPSの電波が届かない場所で搬送車両や作業者の位置情報を取得するためには、高精度なビーコンを多数設置し、電波強度を計測しながら位置を推測する方法が一般的に用いられている。

しかしこの場合、電波の干渉や反射などによって誤った推測位置を取得する可能性があるほか、ビーコンの設置やメンテナンスにコストや手間がかかる点がネックになっていた。

そこで日立は、日立産業制御ソリューションズ、計測関連事業を手がけるサイトセンシングと共同で、自律航法にビーコンと地図情報による位置補正を組み合わせ、屋内の搬送車両や作業員の位置情報を高精度に計測するシステムを開発、これを活用し、サービストラッキングビューとして提供する。

屋内の誤差は3メートル以内と高精度で位置情報を計測するため、従来の方法に比べて設置するビーコン数が少なく済む。屋外ではGPS信号を位置補正に利用。搬送車両や作業者に取り付けた加速度・角速度・地磁気の3つのセンサーのデータを、動線、加速、減速、速度、旋回などに変換する技術により、移動距離や方向などの挙動を演算する。

これに、ビーコンにより計測した絶対位置と、あらかじめシステムに登録した地図情報を組み合わせることによって誤差を補正し、誤差3メートル以内の高精度な位置情報を提供する。

日立は今後、トラッキングビューを水処理・交通などの社会インフラ事業者や流通分野などでの作業者の動線管理の適用にも拡大していく方針。