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ネット購買で中国が欧米を先行、UPS調べ

2017年9月4日 (月)

調査・データUPSは4日、「産業用製品の購買力学」に関する調査結果を発表した。それによると、製造業は米国、欧州、中国の産業用製品購買者に訴求するために、「Eコマース、パーソナルなタッチポイント、アフターサービス、品質・評判、3D印刷」の5分野で行動を起こすことができる、と提言している。

今回の調査では、購買時のオンライン、モバイルチャネルの活用で、中国が欧米を先行しているという結果が出た。同社はこの結果について、EC市場とモバイルアプリによる購買が成長する可能性が高いことを示す初期的な兆候を裏付けるもの、と分析しているが、一方で「対面型の関係構築も引き続き重要だ」とする結果も紹介している。

また、アフターサービスも欧米・中国市場の購買者にとって「必須のサービス」で、特に返品は米国と欧州で最も高く評価されるサービスとなっている。

Eマーケットプレイスとモバイルアプリを通じたオンライン購買はいずれの市場でも近い将来に増加する見通しで、今回の調査では、中国における産業用製品の購買者の43%がすでに購買にモバイルアプリを使用し、その割合は米国(30%)と欧州(17%)を上回った。アジアではEコマースの活用が急速に高度化し、アジア太平洋地域ではデジタルチャネルによる消費者の購入経路の変革が進行している。

オンライン購買の人気が高まっている一方で、海外でビジネスを拡大するアジアの製造業にとって対面営業はやはり重要だ。中国と米国では、購買チャネルの上位2つをサプライヤーのウェブサイト(米国23%、中国17%)と営業担当者との対面(米国22%、中国25%)が占めている。

このトレンドは欧州の購買者も同で、欧州ではEメール(24%)と対面(22%)で購買する傾向がある。注目すべきは、中国の購買者の93%が購買を始める前にオフラインでの関係の確立を求めていることだ。

これは、中国市場に進出したいと考えている製造業が成功を収めるには、適切な人間関係を築き、入り込む努力をすべきだことを示唆している。また、調査した全3市場の購買者は、製品に関する質問への答えが最も簡単に得られるという理由から、主に対面での購買を選択している。

この結果は、製品に関する質問への回答をオンラインで提供することで、営業部門の生産性を改善する余地があることを示している。

アフターサービスはすべての調査市場で、重要かつ期待されているものだが、中でも中国で99%と要望が強く、欧州では86%、米国では76%と続く。アフターサービスの重要性は高まっており、全体の購買者の5分の1から3分の1が「アフターサービスを提供するサプライヤーに切り替える公算は極めて高い」と話しているほど。

すべての購買者の少なくとも3分の1が返品に関するポリシーがあることを望んでおり、その内訳は米国(43%)、欧州(34%)、中国(32%)となっている。同に顕著なトレンドとなっているのがオンサイトでの保守・修繕の必要性で、米国、欧州、中国の購買者のそれぞれ61%、61%、82%が必要だと考えている。

欧米と中国の購買者がサプライヤーを選択する際に最も重視するのは製品の品質で、それ以外の要因には、価格、価値、製品の入手のしやすさが上位にランクされている。

調査結果によると、産業用製品の購買者の過半数(米国72%、欧州62%、中国55%)が主に自国で製品調達をしているが、このことは逆に、中国の購買者の45%が海外から購入していることを意味し、海外のサプライヤーが中国でビジネスを成長させる余地が大きいことを示唆している。

中国の購買者が国内で購入する理由の上位3つは、コスト(64%)、品質(46%)、ビジネスのしやすさ(45%)となっている。これら3つの主要市場への進出を狙う製造業はそれぞれの市場固有のニーズを捉えるコミュニケーションへの取り組みを強化する必要がある。

3D印刷などの付加価値サービスは競合他社から差別化する手段だ。調査結果からは、購買者が3D印刷サービスを提供するサプライヤーへの切り替えに前向きだことを示す初期の兆候が明らかになった。

具体的には、米国で18%、欧州で12%、中国で20%の購買者が「そうする公算が極めて高い」と回答している。

サービスとしての3D印刷は、高品質、カスタマイズ、緊急のフルフィルメント要求を満たす能力の3点でサプライヤーの魅力を引き上げると認識されている。

サービスとしての3D印刷に投資するための経営資源を備えた製造業は、競合が増えつつある市場で自らを差別化するためにこの新たなトレンドを活用できる。

UPSジャパンの梅野正人社長は「日本の製造業にとって、米国、欧州、中国は重要な成長市場。7月の米国、中国向けの輸出額は自動車や自動車部品、産業用機械にけん引され、前年同期で11.5%と17.6%、それぞれ増加している。欧州市場でも、日欧EPAが発効することにより、同様の製品の需要拡大が見込まれている」と話している。