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すべてのサイト利用者に空き車両・位置情報公開

11月に空き車両情報サイト、ドコモ・フジHDなど4社連携

2017年9月20日 (水)

(以下出所:NTTドコモ、富士運輸)

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話題NTTドコモ、富士運輸(奈良市)などの異業種4社は20日、大阪市内で記者会見し、トラックの動態把握と空き車両情報を荷主や元請け運送会社などにわかりやすく表示する機能を中心とした運送情報サイト「ドコマップジャパン」(docomap Japan)を11月1日に開設し、共同で運営すると発表した。

サイト訪問者にすべての詳細な空き車両情報を公開し、手軽にトラックを手配できるのが売りで、サイト利用料や運送契約時の手数料などもかからないことから、少子高齢化を背景としたドライバー不足が深刻化する一方の物流業界で、トラックのスポット利用に有効なツールとなりそうだ。

運行・車両管理の効率化を図るために動態管理システムを導入する運送会社が増加しているが、ドコマップジャパンは国内最大の通信網を擁するNTTドコモと1180台のトラックで全国に幹線輸送網を張り巡らせる富士運輸グループが共同で開発した車両の可視化システムをベースに構築し、この仕組みを導入した運送会社が情報サイトでリアルタイムに変動する空き車両リストを集約して表示する。

これにより、荷主や空き車両を探している運送会社は同サイトで輸送したい積載貨物や発着地のニーズに適した車両を素早く探し、運送業務を依頼することができる。また、空き車両情報を提供する運送会社側は、システムを使って自社の運行管理を行いながら、車両の空いた時間をサイトに自動表示する仕組みによって車両の稼働率を高めることができる。

空き情報を公開する車両は運送会社側が情報公開の可否を選択することが可能で、荷主との関係などで位置や空き状況を公開しにくいケースにも対応する。空き情報の公開や自社車両の管理に利用したい運送会社は、月額1480円のレンタル端末を車両ごとに搭載し、必要な情報を専用サイトで登録することで、マップ上にトラックの位置が表示される。

導入した車両は地図上でリアルタイムに位置情報が表示される。閲覧者は車両マーカーをクリックすることで、車種、積載量、車両画像などの詳細情報を見ることができる。

車載端末には、トラックの速度や移動・待機時間も記録されるため、運送会社は自社の運行管理をきめ細かく行うことが可能になる。荷主にとっては、自社荷物の現在位置を詳細に把握できるようになる。

情報サイトの運営は、富士運輸の親会社、フジホールディングス(東京都港区)が立ち上げる「ドコマップジャパン」が担う。当初はフジHDの100%出資としてスタートするが、段階的に出資企業を拡大するとみられる。プロジェクトにはNTTドコモ、富士運輸のほか、トラボックス、イーソーコも協力する。

荷主と運送会社のマッチング事業を手がけるトラボックス(東京都足立区)は、自社サービスに加入する運送会社に対し、ドコマップジャパンのレンタル端末の利用を提案。これによって自社サービスの精度向上にも役立てる。

一般的に、トラックの空車回送率は3割程度と見られているが、富士運輸はNTTドコモと共同開発したドコマップシステムの数年間にわたる導入実験によって、空車回送率が14%まで低下。これにより、3年間で売上を100億円程度押し上げる効果があったという。

NTTドコモとともに旗振り役となったフジHDの松岡社長は「ドコマップジャパンのサイトでは、非公開状態の車両を除くすべての空き車両情報を誰もが閲覧できる。面倒な手続きは不要で、実際の運送依頼もサイトに掲載されている連絡先を使って自由に契約する。プロジェクトに参画するすべての企業はその運送契約に介在せず、手数料も不要だ」と、サイトを訪問するだけですべての空き車両情報にアクセスできるなど、ドコマップジャパンの使い勝手の良さや敷居の低さを強調している。