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郵船・内藤社長、コンテナ船統合後の“変化”示唆

2017年10月2日 (月)
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ロジスティクス日本郵船の内藤忠顕社長は2日、東京都千代田区の同社本店で行われた132回目となる創業記念式典で挨拶し、7月に邦船三社による定期コンテナ船事業の統合会社「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス」(ONE)発足後、初めて同社社員に向けて事業統合の経緯を説明した。

同社、商船三井、川崎汽船の3社が設立した定期コンテナ船事業の統合会社は、2018年4月から運営を開始する計画で、内藤社長は「この影響は多岐に、当社グループの大きな転換期になる」と述べ、コンテナ船事業にとどめることなく同社グループ全体の統治体制を転換するきっかけとしていく考えを示唆した。

コンテナ船統合会社のONEに移管する定期コンテナ船事業は、売り上げベースでグループの30%、従業員数19%、運航隻数13%を占める中核事業だっただけに「同事業が移管され、持分法適用会社として抜けた後の日本郵船の骨格をどう描いていくのか」というのは、今後の重要な経営課題となる。

内藤氏は具体的な見直しの内容には言及しなかったが、「世界各地で活動するグループ会社の統治体制を見直し、来年4月1日付で新組織に移行する」と述べ、大幅にガバナンス体制を見直す方針を表明した。具体的には次期中期経営計画の中で、その取り組みを示していくものとみられる。

激しい競争の中に身を投じることとなる新会社の変化のスピードについていくためには国内ターミナル、曳船、内陸輸送、船舶管理――といった「関連事業体がより高い競争力を身に着けていく必要がある」と鼓舞し、事業統合を好機と捉え、積極的に次の発展・拡大を目指すよう訓示した。

また、同社が定期コンテナ船事業の統合に踏み切った経緯について、コンテナ輸送の荷動き量が世界で年間1億5000万TEUに達し、今後も成長していくとの見方を示した上で、「当社は、IBIS(最適経済運航プロジェクト)やEAGLE(コンテナ運用の最適化プロジェクト)などで着実に成果をあげてきたものの、運用スケールでは劣後にあったため、事業運営は厳しい状況にあった」と振り返った。

事業統合の目的についても「運用スケール上、クリティカルマスを確保し必要な競争力をつけること」と説明し、事業パートナーとなる商船三井、川崎汽船については「気心が知れており、現在同じアライアンスに属していることもあり、良いパートナーになると確信している」と述べた。