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トラック運転者の過労環境浮き彫り、過労死白書

2017年10月6日 (金)

話題政府が6日閣議決定した「過労死等防止対策白書」(過労死白書)によると、運輸・郵便業で1週間の就業時間が60時間以上の雇用者の割合(2016年)は18.1%にのぼり、他業種を大きく引き離して最も高い比率となった。

運輸・郵便業は脳・心臓疾患事案のうち労災認定された「業務上事案」が464件となり、2番目に多かった卸・小売業の229件と比べ、2倍強の件数。労災認定された業務上事案を雇用者100万人当たりでみると、「漁業」が38.4件と最も多く、次いで運輸・郵便業が28.3件と多かった。精神障害事案でも214件と製造業(349件)、卸・小売業(290件)、医療・福祉の230件に次ぐ4番目の多さだった。

白書では、人手不足や長時間労働が社会的に大きな関心を集める自動車運転従事者について、より掘り下げた調査分析を実施した。

バス、タクシー、トラック運送事業者に対し、業務量と比べた人員不足感を聞いた結果、運転従事者の「不足」が55.1%となった一方、「配車係」「運行管理者」「その他事務職員等」は不足がそれぞれ16.7%、12.2%、13.2%と低く、70%以上の企業が「適正」と回答。運送事業者の人手不足感がドライバーに集中していることがわかった。

深夜勤務回数や休日出勤が多かった月はバス、タクシー、トラックのいずれも12月が突出しており、白書では「12月の休日労働、深夜勤務の削減を行うなど、繁閑の差を緩和することが過労死等の防止に有効」だと指摘している。

「平均的な1か月」の正社員ドライバー1人当たりの月間残業時間は、45時間超、80時間超と回答した企業の割合が最も高いのは、いずれもトラック。それぞれ45時間超が36.5%、80時間超は6.6%で、バス、タクシーを大きく上回った。

また、トラックの企業における取引慣行として荷主から要請されたり、荷主の都合で発生する事柄としては「荷主の都合で出入荷で手待ち時間が発生する」が55.6%と最も多く、契約外作業との回答も多かった。

トラックドライバーは健康診断の受診率も低い。自動車運転従事者含む「輸送・機械運転従事者」の受診率が95.2%となっているのに対し、トラックドライバーに限定すると受診率は69.2%ととたんに低くなり、3割が受診できていなかった。

■白書本文
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/karoushi/17/index.html