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中国SNSと3PLつなぐ試みも

インアゴーラ、対中越境ECで新たな流通構想

2017年11月22日 (水)
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話題日本商品に特化した中国消費者向け越境ECプラットフォーム「豌豆プラットフォーム」を運営する「Inagora」(インアゴーラ、東京都港区)は22日、日中間の新たな商品流通システム「ワンダージャパンクロスボーダーシンジケーション」構想を発表した。

この構想は、大手流通・卸とともに越境ECの中間流通の役割を担い、中国市場への参入をより手軽にすることを目指したもので、日本企業が越境ECを行う上で必要となる商品マスター・通関データベース・新商品情報といった情報基盤、商流・物流といったビジネス基盤、マーケティング基盤をプラットフォーム化し、越境ECを総合的にサポートする。

インアゴーラはこのシステムを構想し、賛同を得た大手流通・卸と事業化を検討するためのワークグループを組織、共同で事業化を検討する。現時点であらた、伊藤忠食品、大木、加藤産業、国分首都圏、全農パールライス、中央物産、ときわ商会、日本アクセス、日本酒類販売、ピップ、三菱食品が賛同しているという。

同社は中国向け越境ECの課題の一つとして、「日中間に流通ルートが存在しない」ことを挙げ、「一般的に中国では、複数のブローカーが日本商品の仕入れを行っている」が、ブローカーが小売にアプローチして商品を買い漁るため、日本国内で欠品が多発していると指摘。商品の横流しなどによる流通ルートのブラックボックス化が生じ、これにが販売価格の高騰や安売りといった混乱を招いている、という。

また、日本企業と中国小売の間に介在するブローカーによる仕入れの流通ルートが可視化されないことから、日本企業による商流の管理が困難になっており、このために日本企業が正確な需要を把握できず、需給の混乱が起きていることも問題視。さらに、情報のギャップによる人気商品の偏り、マーケティング情報の把握の困難さについても課題だとする。

同社は、今回の構想が実現することで、これまで困難だった商品の情報管理、受発注の適切な管理、通関・物流のステップ、マーケティング情報のフィードバックなど、中国進出に伴うハードルが解消し、「日本企業はより容易に中国市場へ進出することが可能」になると説明。

具体的には、自社が持つ4万点の日本商品の商品情報を応用し、大手流通・卸と共同で新たな商品情報を追加・更新して商品マスターに追加。これに、インアゴーラの越境ECノウハウを活かし、商品の訴求ポイントや販促情報、利用シーンなどのコンテンツを統合して、商品マスターを作成する。

これらの商品マスター情報は、日本企業の許諾を得た上で中国の販売チャンネルに開放し、「正確な商品情報の流通」を常時できるようにするとともに、より幅広い商品の正しい認知を促すことで、「潜在ニーズの掘り起こしや販売促進」へつなげる。

中国に商品を配送するモデルには、海外から直接配送する直輸モデル、保税区倉庫から配送する保税区モデル、一般貿易にならった一般貿易モデルがあり、それぞれのモデルの通関で必要となる書類が大きく異なるが、中国政府の通関政策や通達が頻繁に変わるため、日本企業が常時正確に管理するのは「煩雑で非効率な上に、高い専門性を要する」とされている。

そこで、ワンダージャパンクロスボーダーシンジケーションの「通関データベース」で煩雑な通関業務をサポート。配送モデルごとに必要となる書類を明確化し、通関データベースを構築、一度登録した通関データは日本企業の許諾の範囲内で整備することによって、中国の販売チャンネルが再利用できる環境を整える。これにより、これまで煩雑だった多チャンネル展開を容易にしていく。

このほか、SNSを通じた新商品情報の素早く多角的な拡散や、商流管理による受発注の円滑化、3PLの活用による物流サポートを提供し、有力なSNSメディアがインアゴーラ倉庫にある在庫商品をバーチャル在庫として販売できるようにする。