ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

資生堂、米国の物流体制を抜本再編、拡大へ備え

2012年6月8日 (金)

M&A資生堂は8日、世界最大の化粧品市場である米国の事業基盤強化に向け、物流の抜本再編を行うと発表した。2014年までに物流インフラの統合、移管を進めるとともに、バックオフィス機能を一元化し、将来的な事業拡大に備える。また、2007年に買収したベアエッセンシャル社と資生堂ブランドの生産・物流体制を効率的な仕組みに移行させる。

 

米国では現在、ベアエッセンシャル社(デラウェア州)が自社ブランドの生産と米州内外への販売・輸出事業を展開しているほか、資生堂アメリカズコーポレーション(SAC、同)が米州地域の持株会社機能と、資生堂グローバルブランドなどの販売事業を、資生堂アメリカインコーポレーテッド(SAI、ニューヨーク州)が資生堂グローバルブランドの製造をそれぞれ担っている。

 

物流は、ベアエッセンシャル社がオハイオ州コロンバスの物流拠点「コロンバス物流センター」(敷地面積4万6920平方メートル)で、米国内外へ向けて年間5000万梱の出荷と1100万ユニットのセット業務を運営。また、資生堂アメリカズコーポレーションはニュージャージー州オークランドで「SACアメリカ物流センター」(同4万2740平方メートル)で資生堂グローバルブランドなど年間1200万梱の物流業務を米国内外に向けて行っている。

 

再編による物流の変化

再編による物流の変化

今回の再編ではまず、SACアメリカ物流センターで取り扱っている物流のうち、米国内の販売チャネルに向けた物流と米州地域向けの輸出業務をコロンバス物流センターに集約するとともに、米州地域外へ向けた輸出業務を資生堂アメリカインコーポレーテッドのイーストウィンザー工場(ニュージャージー州)に新設する物流センターへ移管する。

 

SACアメリカ物流センターで取り扱っている製品在庫は、13年5月以降、段階的にコロンバス物流センターとSAIの新物流センターに移動し、同年7月から新物流センター体制を稼働させる。新体制への移行に合わせ、コロンバス物流センターはベアエッセンシャル社以外の物流も扱う総合的なセンターとして位置付けることから、「資生堂アメリカディストリビューションセンター」(ADC)に改称し、米国内の販売チャネルと米州地域向け輸出を行う。

 

また、資生堂アメリカインコーポレーテッドの新物流センターは、輸出港であるニューヨーク港に近いことから、米州地域以外に向けたグローバルブランドの輸出を担う。その後、資生堂アメリカインコーポレーテッドの事業を資生堂アメリカズコーポレーションに統合し、生産から販売までを自己完結するバリューチェーンを構築する。

 

資生堂では今回の再編に伴う投資額などを明らかにしていないが、グループ全体の海外販売比率(現在は44.3%)を引き上げ、2017年までに国内と海外の比率を50:50とする目標を掲げており、今回の再編を「抜本的なコスト構造改革の一環」に位置付ける。