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中国輸出入遅延、物流直撃鮮明に、経産省「再開、判断できない」

2010年10月5日 (火)

行政・団体経済産業省は5日、9月28日から30日にかけて実施した中国の輸出入状況の調査結果を公表した。レアアースとその他の輸出入貨物の通関状況などを調べたもので、レアアースについては具体的に回答した31社すべてが「中国からの輸出に支障が出ている」と報告。商社、物流会社、メーカーを対象に実施したその他の貨物の通関状況は、回答した424社のうち124社が「遅延などが出ている」と回答した。

 

<レアアース>
調査結果によると、レアアースの輸出遅延は9月21日から増加しており、発生地域も上海3件、天津7件、広州2件、大連1件と広範囲にわたっている。支障が発生している輸出時の類型としては船積み時が14件と最も多く、「保税区で止められている荷物が未だに船積みできない」「保税区で日本向け荷物に対する全品検査が行われており、事実上輸出は止まっている」といった状況が報告された。次いで多かったのが通関時の支障で11件あり、「一部の港で申請は受理されたが、許可が下りない」「通関時の価格検査で廉価すぎるとして許可が下りない」といったケースがあった。また、輸出許可証(EL)申請時は8件で、通常の英文申請書に加えて中国語の書類も要求されたという。

 

こうした報告を踏まえ、経産省では「9月28日以降、輸出許可申請が受け付けられたとの情報がある一方、輸出検査の厳格化が行われているとの情報もある」として、断片的な情報があるものの「輸出が再開されたと判断できる状況には至っていない」と結論づけている。

 

<対日輸出入貨物の通関状況>
レアアースに限定しない対日輸出入貨物の通関状況調査は1146社を対象に実施し、物流会社110社、自動車関連76社、石油製品68社など合わせて424社が回答した。

 

このうち遅延などがあったと回答したのは124社214件で、発生地域も上海121件、深セン35件、天津31件、広州19件、大連19件、北京17件、青島13件、アモイ11件――など、多くの地域にわたっていることが分かった。こうした遅れは9月20日以降に急増。検査強化などにより遅延が「ある」と回答した業種は物流会社が139件と全体の65%を占め、次いで商社が26件12.1%となった。

 

検査強化の内容としては、検査率の引き上げが最も多く、対日輸出で114件、対日輸入で77件が報告された。具体的な事例としては、「船舶貨物については、今までの検査率3-5%が20-30%に、航空貨物については3-5%の検査率が、日系航空会社に搭載する貨物は50%に引き上げている」「上海の税関では、日本からのある部品の輸入について、通常80%の開梱率が50%に、日本への輸出については100%となっている」「航空便も港と同様に検査率は上昇しており、天津空港では通常20%が25%、広州空港では通常25%が30%となっている」といった回答が寄せられた。

 

このほかにも、「中国語記載の通関書類、製品成分の分析結果、ブランド証明資料など従来提出していない資料が新たに要求されている」「適用されるHSコード(分類番号)の変更について指導があり、これに伴い税率が上昇した」といった状況が報告されたが、直近では「遅延が解消した」という回答も8件あった。このうち2件は9月28日に解消、残る6件は解消日が不明という。