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近畿運輸局、シーアンドレール促進へ方策まとめる

2010年5月28日 (金)

ロジスティクス近畿運輸局が設置する「大阪港におけるシーアンドレール輸送の普及促進に向けた調査検討委員会」はこのほど、大阪港を中心とした海上輸送と鉄道輸送の連携強化を図り、国際複合一貫輸送に対応したシーアンドレール輸送の普及を促進するための方策をまとめた。

 

東アジアを対象とした輸出入を行っている企業とフォワーダー748社を対象としたアンケートを実施し、103件の回答を得た(回収率13.8%)。この結果によると、国際輸送で重視する条件は「輸送コスト」が82.5%で最も多く、次いで「リードタイム」が68%。国内での輸送手段は輸出入ともに自動車が多く、鉄道利用件数は輸出入合わせて10件にとどまった。

 

シーアンドレールに対するイメージについては、環境面で72.8%がプラス評価する一方、コスト面の評価が「分からない」とした回答が54.4%を占めたほか、スピード面でも「マイナス評価」と「分からない」が合わせて79.6%と低評価だった。さらに、シーアンドレールに必要な条件としては、「トータルコストの低廉化」が61.2%と半数を超え、「利用しようとする鉄道区間の運行設定」(47.6%)、「鉄道輸送にかかる手続きの簡素化(一貫輸送サービス等)」(27.2%)、「運行本数の増加(鉄道貨物)」(25.2%)――と続く。

 

委員会では、従来輸送とシーアンドレール輸送を比較するモデル事業を実施。空コンテナを回送し、実入コンテナを東京・大井CFSから大阪港・釜山港を経由して梁山市まで輸送した。それによると、リードタイムはコンテナフレートステーション(CFS)などでのカットタイムが規定されていることから差は生じなかったものの、輸送コストはモデル事業が15%低い結果となった。また、CO2発生量についても、モデル事業が37%少なかった。

 

こうした結果を受けて、委員会では普及促進に向けた課題と方策をまとめ、課題として(1)荷主などのユーザーに対するPR・提供情報不足(2)大阪港に近接する鉄道貨物駅における荷役機能・列車本数不足(3)シーアンドレール輸送を支える陸上ネットワーク形成上のネック(4)鉄道利用に関する手続きなどの利便不足(5)鉄道輸送における緊急・事故対応の不安(6)通関に関わる要望――などを挙げた。

 

これに対し、普及促進に向けた方策としては(1)荷主・フォワーダーなどユーザーに対するPR強化(2)シーアンドレール輸送を支える物流ネットワークの形成(3)大小ロットに対応したシーアンドレール輸送の普及促進(4)鉄道輸送の安全性PR・手続面の改善(5)AEO通関制度活用による時間短縮化――などを示した。