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DNP、宇都宮工場が竣工、本格稼働

2013年7月8日 (月)

メディカル大日本印刷(DNP)は8日、グループ会社のDNPファインケミカル宇都宮(2月1日にDNPファインケミカル福島から社名変更)が、機能性素材や医薬原薬などを製造する宇都宮工場(栃木県栃木市)を7月25日に竣工し、本格的な稼動を開始すると発表した。

DNPファインケミカル宇都宮は、福島県南相馬市に拠点を置き、機能性素材や医薬原薬などの製造・販売を行っていたが、2011年3月に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故で、工場所在地が警戒区域に指定されたため操業停止を余儀なくされていた。

同社工場の早期の操業再開に向け検討した結果、DNPが書籍や商業印刷物を製造する宇都宮工場の敷地内に新工場を建設することとし、12年4月に着工。7月25日の竣工に先立ち、3月に機能性素材の生産設備が稼動を、6月には医薬原薬、中間体の生産設備も稼働を開始している。7月に稼働を開始する高圧反応設備により、本格的な操業開始となる。

新工場では、DNPファインケミカル宇都宮が持つ優れた有機合成技術を生かし、これまで主力としていた医薬原薬、中間体を生産するほか、DNPが製造する電子材料などに使用される機能性素材も生産拡大を図る。

大型設備の導入に加え、クリーンルームを備えた原薬精製設備を増強した。生産体制も24時間操業とすることで、リードタイムの短縮を図るとともに、安定供給の体制を構築。また、新製品の速やかな開発と量産への移行のために、50-1500Lクラスの反応缶9基を持つテストプラントを併設し、パイロット生産の体制も強化した。合成棟では、医薬品生産ゾーンと機能性素材生産ゾーンを明確に区分し、それぞれの厳密な管理体制のもとで生産を行う。

機能性素材生産ゾーンでは、環境エネルギーやディスプレイなどの紫外線硬化樹脂やカラーレジストといった電子材料に使用する機能性素材を生産する。DNP、DNPファインケミカルと連携し、機能性素材の開発体制を強化、新工場での生産拡大を図っていく。

医薬品生産ゾーンでは、医薬原薬・中間体を生産。各国の品質保証規格に適合した信頼性の高い生産体制を構築し、化学合成プロセスを最適化することで、コスト競争力の向上を図る。

DNPファインケミカル宇都宮は今後、DNPグループ、外部の企業へ機能性素材を販売する。また、ジェネリック(後発)医薬品や合成新薬を中心に医薬原薬・中間体を販売するほか、受託合成にも対応し、震災前の状態を早期に回復した上で事業拡大を目指す。

■新工場の概要
所在地:栃木県栃木市西方町本城1062宇都宮西中核工業団地
建築面積:1988平方メートル
延床面積:8414平方メートル(合成棟は鉄骨造4階建て)
投資額:47億円