JFEスチール、初の鋼材運搬用電気推進船が就航

ロジスティクスJFEスチールは9日、同社の鋼材製品を運搬する電気推進船「はいぱーえこ」が就航したと発表した。「はいぱーえこ」は、鋼材運搬用として日本初の電気推進船で、従来のディーゼル船と比べ、5％の燃費向上、CO2削減を実現した。

「はいぱーえこ」は、機器配置の自由度を最大限に活かして船尾水流抵抗の軽減を実現するとともに、船型のスリム化や2機2軸のプロペラの導入により操作性を向上させ、全体の水流抵抗を更に削減した。この結果、エネルギー伝達ロスを上回る省エネ効果を得られ、これまで困難とされた鋼材運搬への電気推進船の適用が実現した。

電気推進船は発電機でモーターを駆動し、プロペラを回転させて推進する。エンジンをモーターに置き換えることで船尾の機関スペースが削減され、船尾水流抵抗の軽減が可能となる一方、電気機器を経由する際に生じるエネルギー伝達ロスを補うことは一般的に難しいとされている。

「はいぱーえこ」ではこのほか、機関の静粛性や船内空間の自由度を活かし、船内環境も改善。また、船舶機関出力を750キロワット未満にすることで、法律で定められている機関部有資格者数を削減することが可能となり、慢性的な船員不足対策にも効果を発揮しているという。

■電気推進船「はいぱーえこ」の概要
運航者：JFE物流
船主：向島ドック
建造者：中国・青島造船所有限公司
総トン数：498トン
載貨重量：1800トン
寸法：全長77.08メートル×巾11.50メートル×深さ7.43メートル
航海速力：11.5ノット