ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

セーラー万年筆、生産・物流強化やM&Aの費用調達

2013年12月27日 (金)

M&Aセーラー万年筆は2013年12月27日、自社以外の全株主を対象に新株予約権付き社債を発行すると発表した。これにより、手取額で最大21億4597万円を調達し、12億4500万円をM&A費用に充てるほか、物流機能を含めた生産拠点の機能強化に投資する。

M&Aはロボット事業分野で実施する考えで、相手先候補として現在、国内4社、中国・台湾の15社をリストアップし、検討を進めている。

また、最優先で調達資金を投入するとしている天応・青梅の両工場では、建物の建替えや改造、新設備の導入などに6億円を充てるほか、物流機能を考慮したレイアウト変更を実施するなどし、文具・ロボット両事業で原価率を5%引き下げる。

同社は2012年12月期に過去6期にわたる連続赤字から脱却を果たし、営業黒字化を達成したものの、今期は主力の文具事業、ロボット事業がともに目標を大きく下回り、13年1-9月期末時点で2億7800万円の純損失を計上。

第三者割当増資によって売上の拡大を目指したが、中国市場でロボット事業の販売が振るわなかったほか、競合の増加でデジタル関連の新事業が「なかなか軌道に乗ってこない」ことから、売上の低迷に対して有効な手立て施せずにいた。

また、文具事業では長く設備や人員を絞って生産調整を進めてきたことが影響し、増産や機動的な生産への対応ができず、生産高を増加させて売上を向上させることが難しい状況となっていた。

そこで、同社は生産体制・開発体制の抜本的な改善、システム強化、M&Aなど機動的な資金運用を行い、「十分な競争力をつけていくことが不可欠」と判断。「これまでのような小出しの投資ではなく、抜本的に企業体質を改革できるような、より大規模な資金調達が必要」だとして、新株予約権付き社債の無償割当てに踏み切ることを決めたもの。

新株予約権無償割当ての行使比率が100%に達しない場合、2工場の建て替え、生産設備の更新、新製品開発費、システム化投資、M&A費用の順に資金を投入していく。

M&A費用が予定額に満たなかった場合は、相手先を変更して検討するか、資本提携に切り替えるなど機動的な運用を行うとしているが、大幅に下回った場合には、M&Aを中止し、開発投資を増やす。