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13年10-12月期、CBRE調べ

首都圏の賃貸物流施設市場、需要面積が過去最高

2014年1月22日 (水)

調査・データシービーアールイー(CBRE、東京都港区)は22日、首都圏、近畿圏を対象とした2013年10-12月期の大型マルチテナント型物流施設の市場動向を発表した。

首都圏では大型供給が相次ぐも、今期竣工の3棟は高稼働となっており、空室率は4%へ低下。13年の年間需要面積は過去最高の21.7万坪に拡大し、賃料動向はエリア間で温度差がみられた。また、近畿圏ではグッドマン堺が竣工前にリースアップを完了した。

■首都圏、需要面積が過去最高に
首都圏大型マルチテナント型物流施設首都圏の10-12月期の空室率は、前期比で0.3ポイント低下し、4%となった。期中に竣工した3棟の大型マルチテナント型施設は3PL会社が借りやすい低めの賃料設定の立地であったことが功を奏し、規模の大きい需要を吸引、いずれも高入居率で稼働した。

前期竣工した物件でも徐々にテナント決定が進んだことで、空室率低下に寄与。この結果、年間の需要面積は21.7万坪と04年の大型マルチテナント型施設の統計開始以来、過去最高を記録した。

ただ、最高水準の需要量がけん引する首都圏マーケットでも全般的な賃料上昇にはつながりにくい状況で、CBREでは「3PL会社が荷主との契約を獲得するためにコストを限界的に低く抑えていることが要因」と分析している。

このため、首都圏では低賃料物件を求めて物流立地が圏央道周辺に拡大する展開になっている一方で、千葉県内陸の柏市や埼玉県内の相対的に割安感のある地域では、まとまった面積の空室がほとんどなくなり、下値が切り上がって若干の上昇基調が生まれるなど、エリアによって賃料ポテンシャルに差が出てきているという。

今後は比較的賃料単価の高い湾岸部でもテナント需要が高まってくると考えられることから、同社では「好立地物件のオーナーはより高い賃貸条件のテナントを期待して、テナント決定を急がないケースも見られる」と指摘した。

2014年1-3月期の大型マルチテナント型施設は、12.6万坪(貸床面積)と四半期ベースでは過去最大の供給面積になる見通しだが、空室率は同社が7-9月期に予想した「9%台」を下回り、7%程度にとどまる見込みとなっている。

その理由として、同社では「10-12月期竣工分の空室在庫が事前の想定ほど積み上がらず、14年1−3月期竣工物件のテナント決定状況も想定以上に好調なため」と説明。大手スーパー・コンビニエンスストアや食品卸などを中心に、既に6万坪程度の新規需要が見込まれている。

物流施設開発が活況を呈する中、大きな問題になっているのは建築コストの上昇と建設業界の雇用のひっ迫で、いったん発表された案件でも計画の見直しを迫られ、建設受注先が決定できないものが少なくないという。

また、レンタブル比を上げる設計とするなど、オーナーサイドも収益性を高めたり建築コストを抑える工夫に努めているが、これまでのような賃料水準で利回りを維持するのは相当厳しくなっているため、同社は「計画自体が延期される物件や、着工済みでも竣工が遅れる物件が出るのは必至」と強調している。

■近畿圏、再び空室率0%に
近畿圏大型マルチテナント型物流施設近畿圏の大型マルチテナント型物流施設では、空室が消化されて再び空室率0%となった。14年春竣工のグッドマン堺は、竣工5か月前の時点で100%リースアップが完了し、旺盛な需要が顕在化した例として好感をもって受け止められているという。

また、新たな開発案件として、16年竣工予定のプロロジスパーク茨木の計画が発表され、「大阪近郊では希少な内陸エリアでの先進的物流施設」となるため、新たな需要を創出すると期待されている。